金正恩氏に続き、後部の対座シートに乗り込んだのは…
これに対し、朝鮮中央テレビの記録映像を子細に眺めると、衝撃的な映像が含まれていた。
金正恩氏とロシアのプーチン大統領は3日午後、北京・人民大会堂で開かれた公式行事の後、首脳会談を行う釣魚台迎賓館に向かう際に、同じ車両で移動している。映像では、金正恩氏に続き、妹の金与正・党副部長が身を滑らせて後部の対座シートに乗り込む様子が写っていた。金与正氏は翌4日には白いスーツスカートで登場。首脳会談や公式行事には同席しなかったが、金正恩氏に次ぐ「第2人者」としての地位を維持している様子がうかがえた。
文春オンラインの記事〈金正恩の妹・金与正が「復権」を果たしていた トランプ大統領との交渉を見据えた北朝鮮の“狙い”とは〉で紹介した通り、金与正氏の存在感は最近、急速に高まっている。北朝鮮外交を仕切っているとみられ、金正恩氏とトランプ米大統領による米朝首脳会談が近づくにつれ、さらにその存在感は増していくだろう。
ジュエ氏が公務に就くころには、金正恩氏は50代に
今後、ジュエ氏は最高指導者への階段を順調に上ることができるのか。ジュエ氏は2012年冬から13年春にかけて生まれたとされる。現在は日本で言えば中学校1年生にあたる。
その姿が公開されているものの、公職に就いて部下を従えるようになるのは、大学を卒業して朝鮮労働党に入党してからだろう。それまでまだ10年近い歳月がかかる。ジュエ氏が公務に就くころには、金正恩氏は50代になっている。心臓や血管に不安を抱えているとされる金正恩氏がその時、現在のような壮健な状態でいられるかどうかはわからない。
韓国の情報機関、国家情報院は2017年当時、金正恩氏には2010年生まれの男子が別にいると国会に報告したことがある。情報関係筋によれば、この報告は、金正恩氏の実兄、金正哲氏が11年2月に訪れたシンガポールで、男の子用と女の子用の玩具を購入した情報を根拠にしていた。ただ、その後も、「第1子の男児」の存在を確認できる情報はなく、国情院も最近では「金正恩氏の子どもは3人」と断定しなくなっている。やはり、ジュエ氏の公務開始を待つしかないようだ。

