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炎上居酒屋「赤坂自民亭」 各紙読み比べで見えてきた「ギョッとする事態」

振り返っておきたいあの「会合」をめぐる報道

2018/07/20
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「赤坂自民亭」についてまとめておきたい。

 というのも、この案件は新聞の各キャラが出たという点でもすごかったのだ。

 もうご存知だろうが、赤坂自民亭とは7月5日におこなわれた自民党の飲み会の名前である。

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「獺祭」「賀茂鶴」の小ネタを報じた産経新聞

 まず産経新聞。飲み会翌日の7月6日。

「首相、『赤坂自民亭』に初出席」

 小見出しには「総裁選にらみ? 岸田氏も飛び入り」。

《会場では、首相の地元・山口の地酒「獺祭(だっさい)」と岸田氏の地元・広島の地酒「賀茂鶴」が振る舞われ、出席者からは「どっちを飲むんだ」などと意味深長な声も出た。》

岸田政調会長 ©JMPA

 どうだろう、産経新聞は完全に「総裁選ネタ」として報じているのがおわかりだろうか。安倍首相と岸田政調会長が談笑する写真も含めてほのぼのとした伝え方になっている。

和気あいあいという表現にザワザワ

 この日(7月6日)、私が産経の記事に注目したのは別の理由があった。朝からオウム死刑執行というニュースがあったからだ。7人の執行は大きな決断。こういう場合、法務大臣は前日どういう行動をしているのだろう? 首相とも会っていたのだろうか。素朴な疑問があったので私はまず「首相動静」欄をチェックしたのだ。

 すると前日の夜の行動に目が釘付けになった(7月5日の首相動静)。

「8時28分、東京・赤坂の衆院議員宿舎。自民党の国会議員らと懇談。上川陽子法相、同党の竹下亘総務会長、岸田文雄政調会長ら同席」(朝日新聞 7月6日)

 首相と法相は会っていた。のちに法相が執行にサインしたのは7月3日だとわかるが、執行の前日にこの2人はどんな話をしたのだろう。

上川陽子法務大臣 ©文藝春秋

 するとその上には「首相、自民議員と懇談」という記事。総裁選での3選に向けた支持拡大への思惑がありそうという解説がありつつ、

「首相は宿舎を後にする際、記者団に『和気あいあいでよかった』と語った」とあった。

 和気あいあいという表現にザワザワした。あわてて他紙でも確認したら先ほどの産経新聞をみつけたのである。文中にハッとする記述が。