「来年の本番にも影響してくるかもしれない」アメリカ戦で露呈した主力とサブ組の差
――来年のW杯を想定してというならメキシコ戦に出場した選手がアメリカ戦にも出て、移動などがプレーにどのくらいの影響するのか確かめることも試合同様に重要だと思いましたが、全替えでは確認できないですね。
城 それが今回の遠征の目的のひとつだと思うんです。いいシミュレーションになると思ったけど、やらなかった。2チームで戦うよっていうことを優先した感じですね。結局、アメリカ戦は何の成果も得られず、本当にムダなことをしたなって思います。
――主力と控え組の力の差も見えたような気がします。
城 森保さんは、ずっと同じメンバーで戦ってきたので、バックアップの選手の底上げができていなかった。それがアメリカ戦で露呈したように今、ゲームに出てしまっている。
誰が出てもやり方は変わらないことを追求しているけど、個人の部分でもチームとして戦う部分でも、主力とサブの差は大きい。バックアップの問題は今後も苦労するでしょうし、来年の本番にも影響してくるかもしれないですね。
「今の代表では上田しかいない」「鈴木彩艶も素晴らしい」2試合で評価を高めた選手
――試合結果は今ひとつでしたが、2試合で個人として評価を高めた選手はいますか。
城 上田(綺世)は、良かったと思います。3-4-2-1の1トップだと、ポストプレーができないといけないのですが、これまでの上田は、ボールを奪取するとボールに向かっていくようなポストプレーをしていたんです。そこで、うしろから潰されたりとか、足を出されてボールを取られたりしていました。
今回は、ボールをもらいに行くフリをして体をぶつけて味方に時間と余裕を与えたり、ゴール前で動かずに踏ん張ってボールを収めていた。そうなると相手もファールでしか止められなくなるので、ファールの数も増えた。相手DFの選手との間にもうまく入れるようになっていましたし、守備も効いていた。
かつて大迫(勇也)が、ドイツで体の使い方を覚えてポストプレーがしっかりできるようになりましたが、上田もそこに近づきつつあります。シュートがゼロなのは問題ですし、久保(建英)や堂安(律)、三笘(薫)との連携ももう少し深めていく必要があるけど、今の代表では上田しかいないって感じになりつつあると思います。
――上田は、安定感というか、佇まいに少しオーラが出てきている感じがしました。
城 フェイエノールトでやれている自信がプレーにも出ている感じですね。GK鈴木彩艶も素晴らしかったです。昨年1月のアジアカップではミスを連発してかなり叩かれたけど、今回は、抜群の安定感だった。
彼はポジショニングが素晴らしい。相手選手が一瞬、シュートを打つことに迷いが生じるポジションを取るし、そこでピタリと動作が止まるんです。駆け引きがうまくなり、シュートブロックなど技術も高くなった。しかも彼は体が大きく、横幅もあるので威圧感がある。
大迫(敬介)もアメリカ戦でビッグセーブをしていたけど、鈴木とはかなりレベルの差があるので、彩艶が今、第1GK候補であることは間違いないと思います。
