「カタールW杯の頃からちょっと落ちた」「今のままじゃスタメンは難しい」と感じた“常連選手”とは?
――逆に今回、もうひとつと感じた選手はいますか。
城 伊東(純也)は、カタールW杯の頃からちょっと落ちたなという印象です。アメリカ戦では彼のミスから失点しているし、彼の最大の特徴であるスピードもキレがない。
以前は、自分がテクニシャンではないことを自覚して、がむしゃらにピッチを駆け巡っているイメ-ジがあったけど、今はうまいことをしようみたいな色気が出てきているせいか、プレーにも勢いがないですね。
彼の武器は圧倒的なスプリントとゴールに向かう姿勢だと思うのですが、いろんな経験を積んだことが彼の長所を消しているのかなという感じがします。今のままじゃスタメンを奪い返すのは難しいので、今後の巻き返しに期待したいですね。
「今、W杯が始まったらベスト16の壁を超えるのは難しい」
――日本はベスト8の壁を越え、優勝を目指しています。今回、2試合の結果を踏まえ、今のチームは、そこを狙える力を確実に育んでいると思いますか。
城 今、W杯が始まったらベスト16の壁を越えるのは難しいでしょう。選手のレベルが上がり、やりたいサッカーがだいぶ浸透はしているけど、アメリカにたとえ2軍でも負けてはいけないと思うし、メキシコにも点が取れずに勝てなかった。
メキシコは、決勝トーナメントに上がった時、勝たないといけない相手だと思うんです。今回、点を取るためには、どうすべきか。選手はみんな、それを課題に思っているはずですし、今後どうしたらいいのかという不安を抱えていると思います。セットプレーでの得点も含め、来年に向けて、アジア予選で見えなかった課題をこれからきちんと潰していくことが必要ですね。
――10月にはブラジルとパラグアイとの試合が控えています。
城 もう11人を総入れ替えするようなことはしないでほしいですね。バックアップメンバーを強化していくなら、アメリカ戦のように全替えするとまったく意味がなくなってしまう。主力がプレーするなかで、変化をもたらしてくれる存在として起用を柔軟に考えてほしいと思います。
――日本は、南米のようなチームに苦手意識がありますね。
城 南米のチームは、個人能力がすごく高いので、1対1という面ではメキシコやアメリカ以上に難しくなってくる。これまで以上にプレスバックとか、球際とか、グループで奪うという意識を強くもって対峙しないと、簡単にはがされてやられてしまう。
日本の基盤になる組織的な守備がどこまで機能するのか。まずは、守備から確認していく必要があると思いますし、チャンスで決め切るところは決める。簡単ではないですが、そのクオリティがないとW杯優勝はもちろん、ベスト8も見えてこないと思います。
取材・文=佐藤俊
