進学実績優先で男子校に入ったが、マッチョな校風が合わず退学…

 受験に対して特に前のめりだったのは母親だった。日能研に通い、家庭教師もつけられたが、結局Bくんは御三家には入れず、第二志望の伝統男子校に進学した。だがその後、途中で退学している。

©︎AFLO

 男子校は学校によっては、男子同士の悪ふざけがエスカレートして殴り合いのケンカになることもしばしばある。Bくんの学校もマッチョな校風で、同級生とのケンカをきっかけに学校をやめてしまった。

「親の希望で始めた中学受験で、自分は特に受験したいという気持ちもなかった。勉強漬けの毎日で、友達と遊んだ記憶なんてありません。入った学校も退学することになりましたし、親は校風や自分に向いているかどうかはあまり考えていなかったのでしょうね」(Bくん)

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 大人になったBくんは現在、実家と疎遠になっている。

「親のことは反面教師にしています。自分の子の中学受験ですか? あまり考えていませんよ」(Bくん)

中学受験の合格発表 ©時事通信社

 母親には母親の言い分があったのかもしれないが、中学受験期のしこりが大人になっても埋まらない溝を生む家庭は決して少なくない。人生を左右する進学先を偏った意見で決めるリスクについては、広く知られる必要があるだろう。

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