夏休みが終わると、中学受験を控える小6生の家庭はひりひりするシーズンが始まる。学校説明会や願書の配布は10月頃から本格化するため、夢を見ていられる期間が終わり、子どもの実力と向き合いながらシビアな志望校選択を始める必要があるからだ。

 共学校が人気を高める中でも、開成や筑駒、桜蔭などの男子校・女子校の地位は今でも盤石だ。ただその理由として進学実績ではない「意外な要素」も存在している。

進学実績最上位男子校の1つ、筑波大附属駒場中学 ©時事通信社

 都内在住のAくんは、中学受験で早慶MARCH付属の男子校を受験した。Aくん自身は納得していたが、その決定過程には母親の強い誘導が働いていた。

ADVERTISEMENT

「いろいろな意味で多感な時期になりますから、これ以上ヘンな虫が付いたら困ると思って、絶対に男子校にしようと思っていました」(母親)

 母親が“これ以上”というのにはワケがある。Aくんは目鼻立ちのはっきりしたアイドル顔のイケメンで、スポーツも万能。小学校ではクラス1のモテ男子だった。女子からラブレターをもらうことも多く、高学年に入ると“お付き合い”も始まった。

 Aくんの小学校は教育熱の高い家庭の子が集まることで有名な学校で、私服登校だった。Aくんのお相手の女子はフリルのついたミニスカート中心の派手な服装に、ヘアアイロンで巻いた毛先を揺らして登校する子だった。Aくんの母親は表立って反対することはしなかったが、ママ友から交際が終わったと聞いて安堵したという。

©︎AFLO

「中高生の時期にあんな子に引っかかったら、何がおこるか分からない」

「小学生だから良かったけど、中高生の時期にあんな子に引っかかったら、何がおこるか分からないし、勉強もおろそかになりそうで大変だと思いました。それで中学受験は全て男子校を選ぶように誘導しました。しかも23区内ではなく、郊外の男子校を第一志望にしたんです」(母親)

 Aくんが目指した大学付属校はいずれも偏差値も人気も高い学校だ。中でも第一志望にした学校は、都内にも中学があるが、母親は受験前の秋シーズンに文化祭を見に行って「ここはないな」と思ったと話す。

「23区内の校舎の文化祭には女子校の生徒がいっぱい来ていて、ステージ上でのパフォーマンスに黄色い歓声が上がっていました。これでは男子校に進学する意味がないと思ったんです。一方で郊外にある中学は、同じ大学の付属なのに都心からちょっと遠いこともあり、文化祭を見に来ているのはほぼ保護者だけ。生徒さんたちも落ちついて見えました。志望校にするのはこっちだなと思いました」(母親)

 母親の誘導もあり、Aくん自身も郊外の男子校を気に入って第一志望に選び、無事合格を果たした。進学後、中学・高校在学中にAくんに彼女ができる様子はなく、胸をなでおろしたという。