――著書(『乙女オバさん』小学館、2022年)やインタビューでは、そんな苦しみも赤裸々に明かされながら、生きることにずっと積極的な姿が印象的でした。

 そう、絶対諦めないです。「もういいや」なんて思わない。皆さんもそうだと思いますけど、いいことも悪いことも、人生に無駄はない。悪いことの方が不思議と後々栄養になっていきますしね(笑)。

 

いろんな人からの助言で乗り越えられた”どん底”

――つらい経験を語られることにためらいはありませんか?

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 渦中にいるときは、もう真っ暗なトンネルにポツンと取り残されたような感覚で、当時の出来事をこんなふうに話せる日が来るなんて、到底想像できませんでした。話せるということはトンネルを抜けたということです。

 でもすべて私の人生ですから、それをどんなふうに語っていくか、というのも自分に課された使命だと思うんです。だから、インタビューの際によく「質問事項でNGは?」と聞かれるんですけど(笑)、「まったくないです!」と答えています。

2016年、52歳の時に人間ドックでステージ1の乳がんがみつかり、同年に手術を受けた南さん

 私がどん底にいたときは、いろんな人からの助言のおかげで乗り越えられました。がん治療に関しても、セカンドオピニオンを受けて話を聞いて、納得いくまで徹底的に調べて。そうした経験が、今の自分を支えています。なので、私が話すことで誰かのヒントになり、助けになればと思っています。それと、皆さん、検診には必ず行ってくださいね!

――つらいときはつらいと言い、不安なことがあれば勉強して解決したり納得したり、他人の意見も聞いて、信頼できる人にはしっかり頼る。南さんのそうした考えは、年齢を重ねるごとに形成されていったのでしょうか。

 もともと、すごく社交的な性格ではあると思います。例えば学生時代とかは、派手なグループにも真面目なグループにも、文化系とか体育会系とか、クラスにいる全員に興味がありました。特定のメンバーだけじゃなくて、できるだけみんなと話すようにしていましたね。