これまで200本以上の映画・ドラマに出演し、今年で芸歴42年目を迎えた俳優・南果歩さん(61)。

 米『エンターテインメント・ウィークリー』が発表した「ベストドラマ10」(2024年)で1位となったドラマ『Pachinko パチンコ』(Apple TV+)にオーディションを経て出演するなど、今なお活躍の場を広げ続けている。海外への挑戦、3年前の独立、家族との関係性について伺った。(全3回の2回目/続きを読む

南果歩さん ©三宅史郎/文藝春秋

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海外での仕事が続いたのをきっかけにフリーに

――『Pachinko パチンコ』をはじめ、台湾映画『腎上腺』(原題、2025年台湾公開予定)など、海外作品に積極的に参加されていますね。

南果歩さん(以下、南) それはもう本当にありがたいことです。日本とアメリカ、それぞれにマネージャーがいまして、やりたいと思う作品と出会えています。

――2022年初頭に大手事務所を離れて、フリーで活動されているんですよね。

 はい。自分で事務所を始めました。それがちょうど『Pachinko パチンコ』の撮影が始まるタイミングだったんですね。海外でのお仕事が続くと、国内での仕事の調整もきっと大変になる。であれば自分でやろうと思ったのが独立の大きなきっかけでしたね。

「英語にはずっとコンプレックスがある」

――まだコロナが猛威を振るう中、単身でカナダ・バンクーバーでの撮影に参加されたと。

 なかなか大変でしたね。日本人の役ではありましたが、スタッフとのやり取りは英語なので。映画『ルール・オブ・リビング』(公開中)では外国人との英語のコミュニケーションに困惑するシーンをたくさん撮影しましたが、気持ちはよく分かります。英語にはずっとコンプレックスがあるので。

 

――コンプレックスなんですか? 映画では南さん演じる美久子が徐々に英語が上達していきますが、実際、自然に英語でコミュニケーションをとられているように見えました。

 すごくコンプレックスです。海外に住んでいた経験もありますが、英語は日常会話レベルなので。日本でもこれだけ外国の方が増えて日常的に見かけることも多くなりましたが、いざ流暢に英語を話せるかとなるとちょっと尻込みしてしまう……。とても興味を引かれるものではあるんですけど(笑)。

――海外への興味、魅力というのは主にどんなところですか?

 やっぱり視覚から得るものは刺激がありますし、実際に身を置いてみるとその土地の影響を強く受けますよね。だから、見たことのない景色を見てみたい、会ったことのない人に会いたいと常に思っています。一人旅もよくしますし。