つまり、信頼される話し方の第一歩は鎖骨から始まります。声や姿勢、安心感まで変わるのです。

聞き手の印象を変える「話す前の1秒ルール」

最後に話し出す前のコツをお教えします。プレゼンやスピーチなど、人前で話す場面になると、緊張のあまりつい早口になったり、「早く終わらせたい」と焦る気持ちが出てしまったりすることがあります。

結果、多くの人がやってしまうのが「いきなり話し出してしまう」話し方です。

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たとえば、壇上に上がった瞬間、マイクの前に立った瞬間、「えー、それでは、よろしくお願いします」と間髪容れずに言葉を発してしまう。一見スムーズに見えるかもしれませんが、実は“軽く見られる”話し方の典型です。

人は「余裕のある人」に安心感を抱き、「安心できる人」を信頼します。間を取らずにすぐに話し出す人は、「焦っている」「自信がなさそう」「余裕がない」といった印象を与えてしまい、この人大丈夫かな? と不信感を与えます。

壇上に上がってから、無言で客席を見渡す。マイクの前で、深呼吸してから目線を上げる。

このたった1秒の「沈黙」があるだけで、聞き手の印象はまったく変わります。この“何も話さない1秒間”が、話し手の存在感を強く印象づけるのです。

プロの演説家やプレゼンター、俳優やアナウンサーの多くが、話し始める前に“間”を取っています。これは「緊張している」からではなく、「聞き手の心をつかむ間」であり、「自分のペースをつくる間」なのです。

沈黙が「この人デキる」と思わせる

この間には、3つの効果があります。

1「場の空気を変える集中効果」

話し手が一瞬言葉を発しないことで、場の空気が“静”になります。聴衆の注意が集まり「これから何が始まる?」と集中力が高まるのです。

2「呼吸&声整え効果」

話す前に息を整えることで、腹式の落ち着いた声が出せるようになります。

3「主導権を取り戻し効果」

場の空気に飲まれるのではなく、「今から自分が話す、この場をリードする」と、無意識に脳と身体を一致させる効果があります。