妻は探偵事務所が突きとめた女性宅に出向き、ポストを確認。さらに身元を調べると、モデル事務所に所属してタレント活動をするかたわら、夜は銀座のクラブでホステスのアルバイトをしていたことが分かった。
夫とは銀座の店で知り合ったようだ。その女性が長女(28)より1つ年下と知ったとき、情けなさや悔しさで涙がこぼれた。
「俺はこれから遊ぶぞ」と豹変した夫
夫と結婚したのは33年前。夫は大学の同級生だ。大恋愛の末、就職後に結婚。長男(30)と長女を授かった。長男を妊娠後、妻は会社を辞め、専業主婦になった。
夫は不動産会社の会社員として約20年働いた後、43歳で独立した。当初は赤字続きで自転車操業。従業員も雇えず、女性が役員となって経理などの事務を引き受けた。
起業後、夫は朝から晩まで働き、夕食も必ず家で食べていた。どんなに夜遅くとも必ず、レンジで温める出来合いのものではなく、手料理を作っていた。品数が少ないと「これだけか」と怒られ、追加した。
不動産市況が上向いたことで、夫の会社は2019年ごろから最高益を更新するようになった。子どもたちも大学を卒業して社会人となり、学費の支払いからも解放された。
「俺はこれから遊ぶぞ」と夫は言い、金遣いが荒くなった。銀座のクラブに通い、女性に高級バッグやアクセサリーを貢ぐようになっていった。
「離婚しても…」妻が出した結論
妻は、探偵事務所の調査報告書を夫に突きつけ、「会うのをやめて」と夫に迫った。夫とは別れたいとは思わなかった。
夫は「もう会わない」と約束した。しかし、女性と会い続け、つらい日々が続いた。
妻は、弁護士や離婚カウンセラーに相談し、これからの人生で経済的、精神的に何が自分にとってベストな選択なのかを考えた。
まず、離婚を選択した場合はどうなるのか。
弁護士に聞くと、浮気の慰謝料の相場は300万円前後。子どもは独立しているので養育費は入らない。
持ち家は売却すれば半額もらえる権利はあるが、残っているローンを差し引くと、まとまったお金にはならない。
夫が会社員時代に納めた厚生年金の分割制度はあるものの、それではカツカツの生活だ。
さらに妻は夫の会社の役員を務めているため、離婚すれば役員報酬を失う。
悩んだ末、妻は結論を出した。意を決して夫に切り出した。
「もうあなたの食事を作りたくないし、洗濯もしたくない。別居したい」
