動画の内容は信じなくてもいい

:はやせさんのもとにはたくさんの体験談が届くと思いますが、動画で取り上げる基準ってなにかあるんですか。

:まず、僕のスタンスとしては、話をしてくれる体験者さんを「信じている」じゃなくて「信じてあげたい」なんです。話を聞いているうちに、「違うな」と思った段階できちんと言うようにしています。体験者さんは心霊現象だと思っていても、「ただのレンズフレアですね」とか。僕が動画で紹介するエピソードに対して「信じたい人」「否定する人」、色々な方がいらっしゃると思いますが、視聴者さんの反応はあまり気にならないですね。

:僕は前提として、自分が信じられていないような話はしないです。だからこそ、視聴者さんが疑う余地があると思った話については、ちゃんと疑いながら聞いてほしいと思ってます。

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:動画の内容を100%信じてほしいなどとは全く思っていなくて、動画をきっかけに視聴者さんが何かに興味を持ったり、調べたりしてくれたら嬉しいですね。『ヤバい実家』についても同じで。

 この本を通して、自分の実家はどうだろう? とか、自分の地域はどうだろう? というのを今一度振り返ってみるというのも面白いのかなと。そこから興味を持って、「こういう歴史があったんだ」とか、自分の血筋や苗字について調べてみるとか、そんなきっかけになる一冊かもしれません。

 

:僕は初めて小説を書いてみて、もっと書きたい、いくらでも書きたいという気持ちがどんどん強くなっています。経済的なことだけを考えたら、YouTubeだけをやっている方が絶対に効率はいいんです。

 でもここ一年くらい、小説を読むところから始めて、書き方を自分で考えながら書く作業をやった結果、すごく充実していたんですね。今、小説を読む人ってどんどん減っていて。たしかに映画やアニメ、ドラマを見た方が時間も短いし、良いじゃないかという考えもあると思いますが、非生産的で、合理的でないように見える行動が、実は幸福に近づく方法でもある気がしているんです。合理的に生きようと思えば思うほど、何か得るものもあるかもしれないけれど、実は幸せからは遠ざかっているのかもしれない。僕自身が、「小説を書き続ける」という挑戦をしながら、どういう変化をしていくのか、ぜひ見て頂きたいです。

司会のクダマツヒロシさん(左)

取材構成:クダマツヒロシ

◆はやせやすひろ

怪異系YouTuber都市ボーイズ(登録者数37万人)として活動。呪物コレクターとしても活動し、世界中の呪物を引き取ることをライフワークとしている。著作に『闇に染まりし、闇を祓う』、『待ち合わせは、闇の中』など。最新刊は『ヤバい実家』。

 

◆灯野リュウ(ミルクティー飲みたい)

都市伝説系YouTuber(登録者数61万人)として活動。著書に『退屈な日常を破壊する都市伝説』がある。最新刊は初小説『渋谷神域』。

ヤバい実家

はやせ やすひろ ,クダマツ ヒロシ

文藝春秋

2025年8月22日 発売

渋谷神域

灯野リュウ(ミルクティー飲みたい)

KADOKAWA

2025年8月21日 発売

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