ウェイトトレーニングを続けることで筋力と体重を増加させ、マーティが得意としていたサーフィンを止めさせようと企んでいたのだ。その目論見は当たり、熱心にトレーニングに励み、ボビーの勧めで摂取したステロイドによりマーティの体はみるみる筋肉質に変化。

写真はイメージ ©getty

 それまで自由に乗りこなせたボートが上手く操れなくなる。結果、将来の夢だったプロサーファーの道を断念。一方で、ボビーから受ける暴力も常態化し、マーティは親に懇願し、叔母のいるニューヨーク州の高校に転校する。しかし、学力がそぐわず新しい生活にも馴染めなかったことで、すぐに高校を中退。その後は実家へ戻り、自室でひきこもるようになる。

「ボビーを殺してしまおう」

 転機が訪れるのは1992年12月。当時、マーティは地元の大手スーパーマーケット「パブリックス」のデリカテッセン・コーナーでサンドウィッチを作るアルバイトに就いていた。家にこもりきりのマーティにボビーが声をかけ、自分も働く店を紹介したのだ。ボビーには友人としてマーティを案じる気持ちがあったのかもしれない。しかし、また時間と場所を共有したことで暴力が再開。

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 マーティが他の友人と遊んでいるとき、ボビーが獰猛なドーベルマン犬を連れてきて大怪我を負わせることもあった。マーティはそれでもボビーに逆らえない自分を恨み、人生に絶望した。

 そんな暗澹たる日々が続いていた同年クリスマスイヴ直前、彼らのバイト先に2人の少女が客として来店する。アリ・ウィリス(同17歳)とリサ・コネリー(同18歳)。

 4人はすぐに仲良くなり、年が明けた1993年初頭より、マーティはリサ、ボビーはアリと交際を開始する。が、リサはまもなく異常に気づく。Wデートの最中、ボビーがマーティを殴り、マーティもまたリサに暴力を働いた。しかし、ボビーがいないところではマーティはいたって優しい。何かおかしいのは明らかだった。

 ボビーとアリが破局した1ヶ月後の同年6月、リサはマーティに思い切って問いただす。いったい、あなたとボビーはどういう関係なのか。マーティは全てを白状した。小学校3年時からボビーに暴力をふるわれ、精神的にも支配されていること、それでも関係が断てずにいること。リサは信じられない様子でボビーと絶交するよう説得したが、マーティは躊躇いの表情を浮かべるだけだった。

 自分の愛する恋人が“親友”に酷い仕打ちを受けていることをリサはどうしても許せなかった。そして、口にする。ボビーを殺してしまおうと。最初は冗談として聞き流していたが、リサは本気で、しだいに2人は具体的な殺害計画を練るようになる。このころ、リサはマーティの子供を宿し、将来は彼と結婚するつもりでいた。

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