その後、都による「報復」も
そもそも指定が妥当な自殺賛美、犯罪誘発、近親相姦推奨みたいな作品がそんなにあるわけではない。
新基準による指定第一号が出たのは改正から4年後の2014年5月、御影石材の『妹ぱらだいす!2』(KADOKAWA)である。KADOKAWAはコミック10社会の中でも最も戦闘的で、東京都主催東京アニメフェスティバルをボイコットし、都知事の面目を潰していた。
実際に同作を読むとエロチックさが皆無とまでは言わないが特に近親相姦を賞賛するような大それた作品ではなく、ハーレム物のギャグコメディだった。証明困難なので、個人的な感想に留めるが、どう考えても報復的な指定だろう。
10年代は指定総数が264冊。その内一般コミックス67冊、美少女コミックス65冊、劇画コミックス6冊、BL誌とBLコミックス89冊、レディコミ誌18誌、TLコミックス4冊。漫画系が過半数を超え、女性向けが男性向けに肉薄している。
この傾向は10年代が進むにつれて顕著になっていく。指定数自体が激減していく中、漫画以外が指定されることが激減し、官能小説誌などの一部を除いて漫画オンリーの指定となっていく。
男女比についても2017年に逆転、2018年には女性ジャンルのすべてをBLが独占する。2019年はBL16冊に対して男性向けの一般コミックスは2冊のみ。20年:13冊 21年:17冊 22年:11冊 23年:4冊 24年:5冊 20年代前半で52冊。内訳はBL系44冊、一般コミック6冊、TL系1冊、一般雑誌1冊。
