――咄嗟に出るものなのですか?

でんじろう なんとしても出すんです。教師時代に培った実践と、日ごろ蓄えてきた情報をババッと組み合わせ、できる・できないまで含めて一気にイメージを広げて形にします。蓄積した知識と情報を結びつけ、面白く転がりそうな話に仕立て、その場でみんなが腹落ちできる形にする。その訓練の積み重ねが、今もアイデアを生み続ける原動力になっています。

ネット民に合わせていくうちに、どんどん“マッドサイエンティスト”化

――テレビ番組といえば、『でんじろう先生のはぴエネ!』(中京テレビ)は15年以上続く代名詞的な番組になりました。

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でんじろう そうですね。最近はYouTubeに放送内容の一部をアップするようになりました。テレビだけなら、同じネタでもある程度の期間を置けば再度やってもいいのですが、ネットは動画が残るので同じテーマは繰り返せません。週1ペースの公開に合わせて常に新しいアイデアを出し続ける必要がありますが、今も継続できているのは、こうした現場での経験が土台にあるからだと思います。

YouTubeチャンネル「でんじろう先生のはぴエネ!【公式】Mr. Denjiro's Happy Energy!」より

――YouTubeチャンネルでは過激な実験やインパクトのある動画が目立ち、どんどんと「でんじろう先生=マッドサイエンティスト」というイメージが強まっています。

でんじろう 最初はテレビ放送の内容をYouTubeにアップするだけで、とくに話題になることも少なかったんです。そこから、再生回数が跳ねる回がちょこちょこ出てきて、視聴者からのフィードバックを見ながら番組自体もYouTube寄りの発想へシフトしました。

 例えばYouTubeはサムネイルの“引き”が弱いと見られないので、企画の段階からサムネ前提で設計するように大きく変わっていきましたね。そうしてネット民に合わせて作ると、彼らはヤバそうなものが好きだから、必然的に実験もヤバそうなものになっていくんです。