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自衛隊「イラク日報」――ブラック職場が生んだ意味なさぬ黒塗り

370日分、14141ページにも及ぶ「日報」を読み込んで判明した問題点

2018/07/23

PDFでは黒塗りにされていた艦名が……

 自衛隊の情報公開に関しては、過去に平時の作業でも問題を起こしている。2013年7月16日に海上自衛隊サイトで「平成22年度護衛艦の命名・進水式について」というPDFでのリリースが公開されたが、式典まで非公開のためPDF上で黒塗りにされていた艦名が、データ上では残っていたために分かってしまう情報事故があった。

 PDFの編集ソフトにはPDF文章を黒塗りにする機能があるが、処置が不完全だと見た目は黒塗りでも、コピペすれば黒塗りの中身を読めてしまうためだ。この時は艦名の事前漏洩程度で実害はなかったが、情報の扱いに関する防衛省・自衛隊の問題の一端が見える。

艦名が事前にバレてしまった護衛艦「いずも」(海上自衛隊ギャラリーより)

 隠すべきところは隠し、公開すべきところは公開することは重要だ。だが、肝心の自衛隊が、隠すべきところとその隠し方を理解していないというのは、大きな問題と言わざるを得ないだろう。

 そして意味をなさない黒塗りについては、むしろしない方がいい。黒塗りをしている以上、それは読み手に隠したい情報ということだ。しかし、黒塗りをしてもそれが分かってしまうということは、逆に「自衛隊が隠したい情報」が何かを相手に分からせることになり、黒塗りをしていない以上に問題だ。

日報、ちゃんと読んでる?

 最後に。日報に関する多くのメディア記事では、日報では装備に関することは黒塗りされていると書かれている。イラクやクウェート各地の自衛隊部隊が保有している武器の種類・数量が書かれている「装備の現況(武器)」についても、ほぼ全ての日報に掲載され、黒塗りがなされている。

イラクで警備に当たる自衛隊員(陸自ウェブサイトより)

 しかし、1日だけ黒塗りされていない日があり、どこに何がいくつ配備されているかがハッキリと分かる状態になっていた。たった1回の黒塗り忘れで、300回以上黒塗りしてきた意味の相当分が消し飛んでしまった。重大な情報インシデントと思われるが、日報の公開から3ヶ月以上経過した今でも、これを問題にした報道を筆者は寡聞にして知らない。

 自衛隊のイラク派遣に批判的なメディアでも自衛隊に忖度して言わないのか、あるいはちゃんと日報を読んでいないのか……。

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