女性なら誰にでも訪れる、閉経という“時間の区切り”。「女としての終わり」というイメージからか、これまで大っぴらに語られることはありませんでした。

 そこで『週刊文春WOMAN 2025秋号』では、すでに閉経を迎えられた方々を対象にアンケートを実施。締め切りまでの8日間で82通の回答が寄せられました。

 当事者のリアルな体験や感想を、美容ジャーナリストの齋藤薫さんが読み解きます(一部を抜粋のうえで公開)。

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閉経すると、本当に女の終わりなのか?

 閉経した時、女は何を思うのか? 自分以外の女性たちはそこで何をどう感じたのか、意外にも知らない。全員に同じようにやってくる運命なのに、長い歴史において、口に出すこともタブー視されてきたからだ。

 今回、閉経についての詳細なアンケートを行った。積極的には答えたくないと言う人も一定数いる。何の抵抗もなくしゃべってくれる人も。そこからして個人差が大きいことを感じたと同時に、世代間でも大きな意識の違いがあることに気づかされた。

 結論から言って、昭和の時代は閉経を誰もが恐れていたものの、平成令和と、どんどん閉経への抵抗がなくなっている。寿命が短ければ、閉経は実際に“ある種の終わり”を意味するが、寿命が延びるほどに“ただの区切り”に思えるようになるからなのだろう。

ナオミ・ワッツは今年1月に初の著書を出版、不妊治療の苦労を明かした。 ©PA Images/時事通信フォト

 ただ中には40になる前に更年期が始まり、まだ出産前なのに「まもなく閉経しますよ」と医者から告げられた人もいる。女優のナオミ・ワッツ。その時の恐怖は計り知れないものだったと言う。結婚したばかり、ましてや子供を産もうとした矢先の出来事。当時は閉経のことなど誰も口にしない。

 それこそ同じ境遇にある人など探せるはずもなく、結果として、40までに2人の子供を儲けることができたというが、育児と更年期障害が同時に訪れ、それもまた非常に過酷であったという。とはいえその後、離婚を経て再婚。ナオミ・ワッツは早すぎる閉経後も、多くの恋をして、ますます美しく“女”であり続けている。

 かくして閉経は、人それぞれ全く違う意味を持ってくる。だからこそ他人の場合を知ることで、改めて自分の閉経と向き合うことも人生において必要ではないか。一つ確かなのは、女に終わりはないということ。