女性なら誰にでも訪れる、閉経という“時間の区切り”。「女としての終わり」というイメージからか、これまで大っぴらに語られることはありませんでした。

 そこで『週刊文春WOMAN 2025秋号』では、すでに閉経を迎えられた方々を対象にアンケートを実施。締め切りまでの8日間で82通の回答が寄せられました。

 なかには閉経について、他人に揶揄されたというエピソードも。美容ジャーナリストの齋藤薫さんが読み解きます(一部を抜粋のうえで公開)。

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10年前まで平気であった閉経差別の実態、じつは今も!

 ルッキズム・ホラーとさえ呼ばれる超問題作『サブスタンス』は賛否両論どころか、不気味さに耐えられずに泣きだす人と大笑いする人が両方いるほど。

 若さ美しさに執着するあまり、禁断の薬に手を出した代償の惨さはルッキズムへの容赦のない逆鱗とも言える。

11月12日発売『サブスタンス』¥4,400(税込)発売・販売元:ギャガ ©2024 UNIVERSAL STUDIOS

 でも、その結末と同じくらいのインパクトを持ったのが、デニス・クエイドが演じた”見るからに悪辣なTVプロデューサー”。

 デミ・ムーア扮する”元人気女優”に対し、「アレ、もうないんだろ?」と閉経を揶揄するような露骨な年齢差別で番組降板を告げるのだが、久しぶりに聞いた、この差別発言。

 今でこそコンプラ的に絶対ありえないが、昔は結構よく耳にした。それこそほんのひと昔前まで「あの閉経ババア」とか「更年期魔女」などという身の毛もよだつ悪口が聞かれたりしたのだ。

50歳を迎えた女優のエリザベス(デミ・ムーア)は容姿の衰えと仕事の減少に悩んでいた。危機感を募らせる中、ある新しい再生医療を試すことになる。

 先の参議院選挙における「高齢女性は子供が産めない」とわざわざ口にした党首の“当たり前構文”のように「50過ぎたら閉経する」は、歳をとったら老いる、以上に言葉にするのが虚しいほどの必然。

 労われて当然の閉経が、女性をからかう手段となる知性のなさが、つい最近まで許されていたこと自体に、圧倒的な性差別があることを改めて感じざるを得ないのだ。