『アンネの日記』で書かれた、生理に対する複雑な心
閉経が集中するコア年齢こそ50~54歳という常識的なものとなったが、注目すべきは、閉経年齢が40歳前後、また60歳前後という人も一定数存在すること。
考えてみれば、生理が始まる年齢もまちまちで、早いと10歳、遅いと18歳を超えるほどに幅広い。周囲より少しでも遅くなると非常に悩み、13歳14歳でもう一生来ないのではと不安に慄いたりしたはずなのが初潮。
「1944年1月6日、木曜日 生理があるたびに(といっても、いままでに三度あったきりですけど)、面倒くさいし、不愉快だし、鬱陶しいのにもかかわらず、甘美な秘密を持っているような気がします。ある意味では厄介なことでしかないのに、そのつどその内なる秘密が味わえるのを待ち望むというのも、たぶんそのためにほかなりません」『アンネの日記』より。
そもそも昭和の時代、月経をアンネと呼んだのは、「アンネの日記」のこの一節が何ともナイーブかつみずみずしい表現で、生理に対する少女の複雑な心を見事に捉えていたから。
その生理が終わる時、思春期のような感傷はないものの、また違った感慨があるのはアンケートによる生の声に明らか。昔ながらの「女でなくなる」との意識を持つ人はもはや少ないものの、多くの人が寂しい気持ちもありながら、煩わしさから解放される喜びもあると語った。
月経とは本当に不可解極まりないもの。こんなに煩わしいのにどこか恋しくもあるのは、まさに腐れ縁のダメ男のようである。だから早すぎる閉経は身を切られるような思いに囚われるのだろう。しかし昨今せいせいしたとの声が多いのには理由がある。だって実際本当に忌々しい。
