「僕の場合は小学校から塾に行かされ勉強漬けで、中学に入れたので、遊びたくて仕方なかったんです。遊ぶっていっても、なにしていいかわからない。だから『とりあえずタバコでも吸ってみるか』『ゲーセンでも行くか』となりました」
ここまでなら、世間知らずの中学生が調子にのっているぐらいの話だ。しかし、万引きとなると明らかな犯罪である。
「中学時代、万引きはゲーム担当、漫画担当、服・靴担当など分業化されていました。流行の商品を万引きしては、盗品をトレードしたりしていましたね」
荒れている不良中学ではなく、私立の中高一貫進学校の話である。
「万引きの手口も無茶苦茶でした。バスケットシューズを試着して逃げるやつがいました。服なら、狙っている商品を試着した上にロングダウンコートを着ていると店員からは見えません。ゲームソフトには、万引き防止センサーがありましたが、当時は粘土みたいなのを付けると鳴らないようにできたんですよ」
問題になっても「親が解決してくれる」
翔吾自身にも周りのメンバーにも、罪悪感はあったという。
「みんな育ちがいいので、ゲーム感覚で不良ごっこをしていました。もし問題になっても、きっと親がお金で解決してくれると考えていたんです」
このころ、翔吾と親との関係は悪かった。父親は大学に勤めていて、教育にはうるさかった。翔吾が髪を染めたり、ピアスを開けることにも反対した。ただし、翔吾は今まで一度も手を挙げられたことがない。
「いいのか悪いのか、怒らない親でした」
不良ごっこを続ける中で、学校では先生に呼び出され停学処分を受け、成績はどんどんと下がっていった。中高一貫の学校ゆえに、なんとか高校には進学できた。
「当時、男子校だったウチの学校は、共学に変わり、偏差値が急上昇しました。高校には、内部進学の僕たちだけでなく、高校受験をした新しい生徒がたくさん入ってきます。いよいよ勉強では追いつけなくなりました」
大学受験のために中高一貫の学校が増えているが、中学から高校にあがるときに脱落する生徒がいることも覚えておいてほしい。
「高校生になってからは勉強する気が完全に失せました。1限目の授業から寝る。ホームルームには出席するが、即ゲームセンターに行くというサボリが日常でした。高校2年生になれないのは途中からわかっていました」
このままでは両親に申し訳ないという気持ちはあった。ある日、先生に呼び出された。出された選択肢は、留年か退学だった。
