学校側は「別の学校に転校するなら1年生の単位を認めるので、高校2年生から続きができる。もし、この学校に残るならもう一度1年生からやり直してもらう」という取引を持ちかけてきた。
「やめてほしいんだろうな」
翔吾は理解した。
「僕は退学を選びました。偏差値が上がり、学校が変わる過渡期だったのか、同学年に退学者は何人かいましたね」
編入した定時制高校で薬物を覚える
私立高校を退学した翔吾は、ほかの高校の編入試験を受けるが合格できなかった。
残るは定時制の高校、いわゆる夜間高校だ。もともと、定時制高校は昼に働く人のために作られていたが、近年は不登校経験者や非行少年などが通うことも多い。
翔吾はある定時制高校に編入することになった。結果として、この入学が翔吾の運命を大きく変えてしまう。
「僕が通った定時制の高校は繁華街の近くにありました。悪い生徒が多くて、校内で薬の売買が行われていたんですよ。トイレに行くと、マリファナの匂いがしてましたね。薬以外にも何でも欲しいものが買えました」
当時、昼間の高校に通っていた生徒は「素行のよくない定時制の生徒が登校するので、夕方は早めに帰宅すること」と、先生から言いわたされていた。定時制高校なので、成人さえしていれば、校内でなければタバコを吸っていても問題はなかった。
翔吾はその雰囲気を楽しんだ。そして、マリファナを初体験する。
「マリファナはゲートウェイドラッグといわれるだけあり、いろんなものをやりたくなりましたね。当時はアダルトショップにシンナーのような合法ドラッグがあり、それも試してみました」
日本の高校生が薬物を使用するのはかなりのレアケース。だいたいは自ら繁華街に行き手に入れるしかないのだが、校内で売られていたのが運の尽きだった。
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