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剛力彩芽を選んだ男・前澤友作 ZOZO球団と「審美眼」のゆくえ

62億円でバスキアを買った経営者 その視線の行く先は

2018/07/29
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バスキアを買い、剛力彩芽を選ぶ

 そんな前澤の今カノは剛力彩芽である。剛力が「事務所のゴリ押し」などと揶揄されながら露出しまくっていた頃、『アーティスト症候群』などの著書のある大野佐紀子は、剛力の美しさは完璧だと称賛するブログを書いている。大野は彫刻を学んだ者の視点から、とりわけ首を褒めたたえ、「テレビで剛力彩芽を見ている日本の具象彫刻家やそれを目指す人々のうちの100人くらいは、『この子の首、作ってみたいなぁ』と思っているはずである。そのくらい、魅力的な造形をしている」と(「変な顔なのに、美しい - 剛力彩芽の造形美」2013.1.17)。

剛力彩芽(2015年4thシングル「相合傘」の発売記念イベントで)©時事通信社

 バスキアを買い、剛力彩芽を選ぶ。この審美眼をほこる前澤の目にかなうのはどこの球団なのか。いずれにせよ、球界参入を目論む前澤の前に立ちはだかるであろう存在が、読売新聞グループ本社代表取締役主筆・渡邊恒雄(以下、ナベツネ)だ。

球界の「お姑さん」ナベツネは、どうする

 息子が家に連れてきた女性をじろじろと観察し、難癖をつけて結婚に反対したり、結婚後も箸の上げ下ろしにまで嫌味をいう。球界のドン・ナベツネは、近年の球界への新規参入者にとってはお姑(しゅうとめ)さんのような存在に違いない。ナベツネ語録をあつめた石黒謙吾『ナベツネだもの』(情報センター出版局・2004)を紐解いて振りかえると、こんな具合だ。

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《「宮内ごときと大読売が日本シリーズで対決? 汚れる。不愉快。オリックスはまともな正業じゃない」》(1998年。オリックスについて、参入から10年経ってもこの言い草)

《「サラ金はプロ野球のイメージにふさわしくない。サラ金への身売りも許さん」「そういう球団は、出ていってもらうのが一番」》(2002年。近鉄のスポンサーにアコムがなったことについて。これが後の騒動への伏線で……)

《「金さえあればいいってもんじゃないよ。今度の人は消費者金融ではないけど」》(2004年。堀江貴文率いるライブドアが近鉄買収に名乗りをあげた際に……)

ナベツネ ©鈴木七絵/文藝春秋

 ナベツネは自分の気に入らない者の参入を嫌うばかりか、いまではあたりまえの代理人制度ももちろん反対であったし、ときには選手会の会長に「たかが選手が」と言い放ちもする。大巨人軍の安寧を揺るがしかねないことに対しては、保守主義者・ナベツネはつねに激するのだ。