「100万部突破‼おかげさまで20号!」が数年で…

 これがかなり売れた。『JAPAN CLASS』は2014年に第1弾が出て以来2019年8月の第24弾まで刊行された。第20弾(2018年10月刊行)の帯には「100万部突破‼おかげさまで20号!」と大々的に謳われているので、1号につき平均5万部は印刷していたと思われる(残念ながら出版元の東邦出版は、2019年12月に民事再生法の適用を申請するにいたった)。

 毎号126ページあまりで60本から70本の「日本スゴイ」ネタを拾ってくるのは本当に大変だろうと、同書の編集者氏には同情を禁じ得ないが、それを20数冊も出すとなると、なんだこれ?的なよくわからないネタもかなりまじってくる。

「日本ほど“地球”を感じる国はない!」

 なかでも『JAPAN CLASS』第11弾(2017年4月)にあった、「日本ほど“地球”を感じる国はない!」、おまえはクスリでもやってんのか的なわけのわからないタイトルだが、「地震」や「台風」などが頻繁にやってくる日本に「自然を感じる~」のだそうだ。「外国人のコメント」なるものも、「いくらなんでも日本は大地震が起きすぎだろ」とか「天災の多い国なのに、日本はなんであんなに落ち着いていて、機能的なんだろうな」などが紹介されている。

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©Trickster/イメージマート

 一体何と比較してそう言えるのか、冷静に読めばツッコミどころ満載なのだが、それぞれがYouTubeやFacebook、海外ニュースメディアのコメント欄に書き込まれた、裏付けのない無責任な個人の書き込みにすぎないものだ。しかしそれを大きく取り上げることで、なぜか権威を持つ見解にしたてあげられ、「日本スゴイ」の論拠として流通させられていくのである。

 宝島社の『JAPAN……』シリーズは、2015年以来、ほぼ年1冊のペースで刊行されており、続編『JAPAN 外国人が感嘆した! 世界が憧れるニッポン155』(ネタが100から155に増えた。2016年)、『JAPAN 外国人が何度も訪れたいニッポンの秘密』(ネタの数は160。2017年)、そして『JAPAN 東京五輪まであと2年だってよ! いこーぜニッポン!』(ネタの数は170。2018年)、『JAPAN 外国人が感動したニッポンの世界一!』(ネタの数は表記なし。2019年)……と、先述の『JAPAN CLASS』を十二分に意識した作りでシリーズが続いた。