「クールジャパン」「観光立国」を始めとする国家的文化政策を筆頭に、書籍・雑誌・ムックからテレビ・ラジオ番組、人材育成セミナーなど、さまざまな媒体を介して社会的に広がっていった「日本スゴイ」コンテンツ。

 それがどのような機能をはたしているのか、具体的なエピソードを早川タダノリさんが読み解いた話題の著書『「日本スゴイ」の時代』(朝日新書)から一部を抜粋して紹介する。(全3回の2回目/続きを読む

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YouTubeで視聴数を稼ぐ「日本スゴイ」動画

 地上波テレビやBSでは退潮していった「日本スゴイ」番組だが、ネット上の動画では相変わらず大量の「新作」がアップし続けられている。その大半が、すでに雑誌やテレビで流されたネタを無料素材画像とテキスト(テロップ)で「動画」に仕立て上げているきわめて安直な作りのものだが、とにかく検索に引っかかってPVを稼ぎ、小銭を稼ぎ出すことが目的であるため、とても正視に耐えないものが多い。

©AFLO

 またYouTubeでは「日本スゴイ」系チャンネルの名前もわかりやすく、

「すごいぞ日本!【海外の反応】」

「世界から見た日本ch 感動大国Japan」

「大好き日本!【あすか】」

「-World Sense-海外の反応と日本」

「LOVABLE JAPAN」

「JAPAN日本最高」

 ——と、「日本大好き」ぶりを強くアピールしていることがわかる。

 とはいえこうした動画群は順調に視聴数を稼いでおり、例えばチャンネル登録者数9万2200人にのぼる「大好き日本!【あすか】」チャンネルでは、「ベルギー人「今何て言いました?」【日本車】が壊れ修理するべく、日本人整備士を呼んだ結果、修理後に衝撃的な一言が……【日本好き外国人・親日家・ほっこり話・感動話】」というタイトルの動画が1年間で200万回の視聴を稼ぎ出していた。3分間のこの動画、日本人の自動車修理工に頼んだら時間通りにきっちりと仕上げ、車内の掃除までしてくれた……という内容。ところがこのエピソード、ネタ元についてはまったく言及がないのである。