週刊誌はひとつの「砦」
―― 撮影の序盤で奥山さんに取材させていただいた時、「週刊誌の意義はまだ追いかけ続けている途中」とおっしゃっていましたが、今回撮影を終えられてその感情は変わりましたか?
奥山: 正直、人を傷つける可能性があるのなら、なぜ週刊誌が存在し続けるのか、今でも疑問に思っています。ただ、真実を世の中に伝える人が誰もいないという状況も、それはそれで恐ろしいことだと感じます。桑原くんのセリフにも同じような考えが表現されていて、本当にその通りだと思いました。その言葉をしっかり噛み締めながら、撮影の終盤は演じていましたね。
大崎: 他のメディアでは取り上げられないような情報でも、週刊誌だけは報じるという、一種の「砦」としての役割を果たせるといいですよね。そういった受け皿が完全になくなってしまうのは不安ですし、やはり存在していた方がいいと思います。
奥山: 記事になった事件やゴシップの裏には、真剣に調査している人たちがいることを、今回演じて初めて知りました。隠れていた「何か」を世に出すことで、普段は見過ごしていた人たちがそれについて考えるきっかけになる。そこから新たな視点が生まれる可能性を考えると、週刊誌が完全になくなることは良くないのかもしれません。確かに当事者だけの問題であるべきケースもありますが、悪事を働いた人の情報が世に全く出ないという状況は、やはり違うのではないかと思うようになりました。
それから、平等なのがすごいと思いますね。強い人とか弱い人だけの味方ではなくて、どんな人の情報でも本物なら出すよっていう。
大崎: 相手を選ばないというのがすごいですよね。
奥山: 確かに。味方なら心強いですね。
「スクープを取りたい」という思いが自然と湧き上がってきました
奥山: 原作を読んでいる最中、私はずっと日向子に嫌なスクープを取ってほしくないと思っていました。特に最初の方は、自分が演じると分かって読み始めたので「お願いだから変なスクープを追わないで」と思っていたんです。でも不思議なことに、読み進めるうちに「頑張れ、頑張れ、スクープだ!」という気持ちに変わっていきました。
大崎: 自分の企画がボツになるとちょっと悔しいですよね。週刊誌は署名記事ではないので、最終的にはデスクの判断で掲載が決まるんですが、自分が関わった記事が載った雑誌が店頭に並び、それを誰かが購入していくのを見ると「よし」という達成感を味わえる。そういう感情があるんだと思います。
奥山:実際に演じる中でも「スクープを取ってやるぞ」という気持ちが自然と湧いてきて、それが面白いなと感じます。そういう一面が自分にもあることを発見しました。日向子はどんなことにも一生懸命に取り組み、聞き込みをすれば相手の心を開かせて話をきちんと聞き出せる力を持っています。日向子を演じた日々を通して、私も彼女のようなコミュニケーション能力や真摯な姿勢が身についていたらいいなと思います。
大崎: これは私の作品の中でも「一番好きだ」と言ってくださる方が多い本なんです。映像化でもファンの皆さんが一緒に楽しめる作品になっていると思うので、とても楽しみです。
奥山: 私も先日1話を見たんですが、本当に面白かったです。これから次々と事件が起き、潜入調査を重ねていくたびに、それらが繋がっていき、より壮大で複雑な物語へと発展していきます。視聴者の皆さんにもその展開を一緒に楽しんでいただけたらと思います。
ヘアメイク 山口恵美
スタイリング 濱田恵(mugico.)
衣装 mizuiro ind
ヘアメイク 山口恵美
撮影 橋本 篤/文藝春秋
©「スクープのたまご」製作委員会
INFORMATION
ドラマストリーム「スクープのたまご」
主演 奥山葵
TBS系
毎週火曜 深夜0:58~ 放送中
※一部地域をのぞく。放送時間変更の場合あり
NETFLIXにて第1話~最新話まで全話配信中
HP:https://www.tbs.co.jp/scoopnotamago_tbs/
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