「2回とも売春防止法違反で、同じ取り調べ内容です。なんか客待ちで立ってるだけでも違反らしいんですよ。まず生い立ちから聞かれました。で、いままでいくら稼いだか、単価はいくらか、そのお金は何に使っていたか、これから生活はどうしていくのかと聞かれ、すべて正直に話して調書にもサインしました。
で、留置場には入れられたけど、2回とも不起訴で、1回目は3日、2回目は2日で出てきました。私、ペットを飼ってるんですよ。で、検事さんの前で、『私はどうなってもいいから犬だけは……』って大泣きしたら、すぐ帰してくれました。普通は10日間ですよね。でも10日もペットを放置したら死んじゃうじゃないですか。それを考慮してくれたと思うんですよね。だから、2回目も同じ手口ですぐに出してもらいました」
売春する女性の保護更生を目的に制定された売春防止法は、刑の執行を猶予するときに「補導処分」に付することができるとし、「婦人補導院」に収容し、更生のための必要な補導を行うと規定している。
婦人補導院とは、補導処分に付された「満20歳以上の女子」が収容される国立の施設で、6ヶ月の間、更生のための必要な補導を行うと規定している。しかし婦人補導院があるのは、全国で東京・昭島市の東京婦人補導院だけで、2010年以降の収容者数はわずか4人にとどまる。つまり未華子の顛末は、逮捕されてもほとんど起訴されないことが背景にある。
逮捕されたのになぜ売春をやめないのか?
──検察官は、いわばお目溢ししてくれたんだよね。それでもやめようとは思わなかったんだ。
「反省してないからいまも公園で生きているんですよ」
──なぜ反省しないの?
「だって仕事だから」
──公園の子たちって、みんな仕事って思っているのかな。
「ひと通り風俗を経験して、たぶん、公園がいちばん割のいい仕事だと思ってるんじゃないですかね」
公園で生きる。そして「仕事だから」とまで言い切る。未華子にあるのはやはり、強い覚悟だ。その裏にあった原体験──それは母親への強い憎しみであることがのちに浮かんできた。
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