芸能界の改革・改善しなくてはいけない面が浮き彫りに

柴咲 「何年も前から企画していたドラマなのに、すごいタイミングだよね」と藤野プロデューサーとも盛り上がりました。

 今、芸能界は過渡期にあるのかなと思うんです。これまではある種「閉ざされた空間」で、業界内のセオリーや慣習、横の繋がりといった、「外の人には知らされていない常識」がありました。私は幸い、汚いところにあまり触れずに来られましたが、芸能マネジメントを始めてから見えてきた部分も実際あります。どの業界でも「してもらった」「意図を汲んでもらった」ことに対して“恩返し”をする文化はあると思うんですけど、ちょっと行きすぎな面があるのかな、とか。

「MES VACANCES(ミヴァコンス) 提供」

 それこそ文春さんのスクープなどによって、芸能界の改革・改善しなくてはいけない面が浮き彫りになってきている。その意味でも、今届けるべきドラマだなと思います。

ADVERTISEMENT

演じる役と自身で重なる部分

――柴咲さんが演じる井岡社長は、芸能界を牛耳る大手「KODAMAプロダクション」でマネージャーを務めたのち、事務所「Rafale」を立ち上げます。柴咲さんご自身も、スターダストプロモーションから独立して、レトロワグラース株式会社を創設されましたよね。重なる部分があったのでは?

柴咲 井岡さんはKODAMAプロの児玉蓉子社長(演:鈴木保奈美)とバチバチですけど、私はまったく違う、とても恵まれた環境でして(笑)。スターダストでは藤下(良司)さんというチームマネージャーにずっとお世話になりまして、私にとっては「芸能界での育ての親」なんです。独立した後も彼への信頼は揺るぎないですし、年に1回は必ず会っているくらい仲が良くて。

「スキャンダルイブ」©AbemaTV,Inc,

 それに、井岡さんはマネジメントサイドでずっと働いてきた人。私のように自分がプレイヤーではないんですよね。やっぱり表舞台に立つ人間にしかわからない孤独とか、センシティブな部分はあるわけですよ。マネージャーに「この仕事、やった方がいいよ」と言われても、逡巡してしまうこともあって。そこはもう、どうしたって理解してもらえない領域なんです。

 でも井岡さんは「本人の不安をどうしたら払拭できるだろうか」と、迷いを一緒に掘り下げてくれる。プレイヤーを尊重して寄り添ってくれるんです。私の周りにもいてほしいなと感じたくらい「真心」がある人ですね。

――そんな井岡社長が大切に育てている俳優・藤原玖生(演:浅香航大)のスキャンダルをちらつかせるのが、『週刊文潮』の記者・平田奏です。もうひとりの主人公ともいえる奏を演じられた川口春奈さんとの「対決」はいかがでしたか?

「MES VACANCES(ミヴァコンス) 提供」

柴咲 憎たらしい顔をしてくださるわけですよ(笑)。「この記者、人を舐めてるなぁ」という。私もこれまで実際にそういった経験があるにはあるので、「いたいた、いきなり目の前に現れて、なんかペロッと失礼なことを言って去っていく人」みたいなね。リアルな記憶と感情を引き出してくれる、いいお芝居をしてくれましたねぇ、春奈ちゃんは。

次の記事に続く 「週刊誌のペンの強さをすごく感じます。良くも悪くも、ですけど」“昔から「正義か/悪か」という二元論が苦手”と語る柴咲コウが主演作『スキャンダルイブ』に込めた思い

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。