柴咲コウにとって5年ぶりの主演ドラマ『スキャンダルイブ』(11月19日よりABEMAにて無料配信)。「正義か/悪か」という二元論がちょっと苦手、真実は人の数だけある――と語る彼女は、最新作にどのような思いを込めたのだろうか?(全4回の2回目/#1、#3、#4を読む)
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自動再生のように言葉が出てきた最終話のクライマックス
――主演ドラマ『スキャンダルイブ』はスリリングな展開が続きます。思い入れのあるシーンは?
柴咲 (鈴木)保奈美さん演じる蓉子社長との対峙は見どころですね。彼女は芸能界随一のバックとコネクションを持っていて、圧倒的な強者。もう第1話の冒頭から井岡さんと火花を散らしていますが、それがどう転がっていくのかという。
それとやっぱり最終話のクライマックスは印象に残っています。ネタバレになるので多くは語れませんが、台詞の途中からふーっとゾーンに入るというか、自動再生のように言葉が出てきて。
――自動再生?
柴咲 俳優あるあるなんですけど、何も考えていないすごくニュートラルな状態なのに、台詞がちゃんと出てくることがあるんです。頭の中で反芻せずに、そのままスーッと降りてくる感覚。これがすごくいい状態で、クライマックスではまさにそこへ至れたなと思います。
良くも悪くも、週刊誌のペンの強さをすごく感じる
――「真実は秒で変わる。」のキャッチコピーどおり、本当に最後の最後まで、謎が謎を呼び、真相と思っていたものがひっくり返っていきますよね。
柴咲 映画『でっちあげ』でも描かれていましたが、真実は人の数ほどあるんですよね。ある出来事をどう切り取って伝播させるかで、大多数の意見や感情も変わっていく。その意味では、週刊誌のペンの強さをすごく感じます。良くも悪くも、ですけど。
私、昔から「正義か/悪か」という二元論がちょっと苦手で。どんな物事も人間も、完全には色分けできなくて、マーブル模様なんじゃないかなと思うんです。言葉面だけ見ればどう考えたってAさんに落ち度があっても、その真意や「そう言わせてしまった背景」まで考えると、Aさん=悪とは言い切れない。一面だけじゃ評価できないんですよ。

