――「働き方改革」という発想さえなかった頃ですから、今の人には想像もできないほど忙しかったんでしょうね。
中村 睡眠時間が足りなくても、体調を崩すこともないし、もともと出不精ですから、遊びたいとも思わず、プライベートの時間がないことに不満もない(笑)。仕事をたくさんすることに喜びを感じて、一生懸命働いていたので、息抜きの必要性を知らなかったんでしょうね。
フランス人の夫との不思議で運命的な出会い
――心身が崩れるほど仕事人間で、結婚願望もなかったのに、あまりに潔く結婚を決意されましたね。
中村 結婚も、就職と同じく“タイミング”だったのだと思っています。夫は、英語は話すけど、日本語はだめ。私はフランス語を全く話せず、英語だって中学生レベル。
でも、初めて2人で食事をした時、話は噛み合わず、言葉だって2人ともいい加減なのに、とっても楽しかったんです。まさにフジテレビの面接で「楽しかった~~」って感じたように、その後はどうなるかわからないけれども、すくなくともその時間は楽しく有意義だった。
――著書に書かれていましたが、エレベーターに乗り合わせたことが最初の出会い。その後、パリと東京で偶然会ったという、そんな映画のようなことがあるんですね。
中村 最初の出会いは仕事で訪れた白金の都ホテル(当時)のエレベーターに乗り合わせた、それだけなんです。彼は196センチもあるので、ずいぶん大きい人がいるなあって(笑)。彼は仕事で初めて日本を訪れた初日。その彼の初めての日本、初めての日にエレベーターで乗り合わせました。
2度目はパリで。パリ在住の日本人の知り合いがいて、なんと彼はその方の同僚だったのです。「あ、エレベーターの人だ!」とお互いに分かってはいたのですが、「ぜひ、次回はランチでもしましょう!」と社交辞令の挨拶だけして別れました。
3度目は、親友から付き合ってほしいと誘われて、収録終わりに参加した会に、なんと彼がいたのです。ちょうど転勤で東京に住み始めて3週目だったそうです。
――そこまでくると、運命を感じずにはいられませんね。結婚してフランスへ渡ったことに驚きつつも、中村さんの超然としている様に、世間は妙に納得している空気だったように記憶しています。
中村 本当に不思議ですよね、これもまさにご縁、タイミングです。あの日、あの会に行かなければ今はないですから。結婚するから会社を辞めたわけではないですし、いずれは彼もフランスに帰るのだから、何がなんでもこの人と結婚したいなんて思いもなかった。ただ一緒にいると楽しいというだけでしたからね。
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