十二月田 そうですね。要は骨格なんですよね。男女の骨格って違って、どうしても男性はエラが張ってしまうんですよね。そこをどう女の子に近づけるか、テーピングをどう工夫するか……、とかですね。やっぱり好きな存在を汚したくないじゃないですか。今は、ウィッグの作り方を調整して、エラが隠れるようにして工夫しています。

自分を推してくれる「ファン1号」も誕生

──確かに最近のコスプレ写真は全然エラが気にならず自然です。ちなみに女の子のコスプレをすることで嫌な思いをしたことはありましたか?

十二月田 ありますね(笑)。以前、あるカメラマンさんが僕のXをフォローしてくれたんですよ。その方は、たくさんレイヤーさんを撮っているカメラマンさんだったんですが、フォローといいね、リポストをしてくれて。その時は「やった!」と思ったんですけど……。その後確認したら、フォローやいいねが全部取り消されてたんです。それで「もしかして僕が男だと気づいたからフォローを外されたのかな」とモヤッとしました。

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──そういう人もいるんですね……。見た目が大きく変わって、一番良かったことはなんですか?

十二月田 恥ずかしながら「ファンです」と直接会いに来てくれる方ができたことですね。同人誌の即売会のイベントにコスプレで参加したときに、あるフォロワーさんが「すみません、十二月田さんですか? めちゃめちゃファンです」と声をかけてくれたんです。それがコスプレ人生で一番うれしかったことですね。

 その時から自己満足のためじゃなく、見てくれる人が満足してくれるようなコスプレがしたいと思うようになりました。

『ブルーアーカイブ』の竜華キサキのコスプレ(写真:本人提供)

──人生で「あなたのファンです」と言われることって、そうないですもんね。

十二月田 びっくりしちゃって。その方のSNSのプロフィールには、今でも十二月田の「公認顔ファン一号」と書いてあるんです。おこがましいですけど、自分も人の心を動かせたんだと嬉しくなりました。