――パラグアイ戦、ブラジル戦のゴールは見事でした。
城 ブラジル戦、上田は、ゴールを決める前に伊東のクロスを決められなかった。本人は「あそこは決めないと」と言っていたけど、次のセットプレーで点を取ったのはさすがだなと思いました。いいタイミングで飛び込んで来るところに彼のうまさ、強さを感じます。
今、フェイエノールトで点を取っているので、コンディションも良いし、気持ち的に乗っているのが大きいですね。パラグアイ戦も敗色が濃くなるなか、同点ゴールを決めてチームを救った。今回の活躍でサポーターが「FWはやっぱり上田だな」と思ったと思うし、レギュラーを確固たるものにした2ゴールだったと思う。
「まったく違うチームになる可能性が高い」ブラジルに勝ってもW杯本番が不安なワケ
――世の中のサッカーファンは、ブラジル戦での勝利に沸いていますが、親善試合でもあり、その辺の評価は難しい所があると思います。
城 ブラジルに勝つというのは、これまでの歴史にはなかったことですし、相手のミスや移動の疲労はあるにせよ、2点リードされて逆転勝ちしたのはすごいことだと思います。もちろん、W杯の本番になればもっと強度が高くなるし、戦い方も研ぎ澄まされてまったく違うチームになる可能性が高い。
今回、勝ったからといって一喜一憂せず、選手層をより厚くしていき、できるだけコンディションの良い状態でW杯に臨めるようにしないといけない。グループリーグを勝ち抜いて、ベスト16を超えていくには、主力だけでは勝ち抜けないので。
――まだ、主力と控えの差が大きいですね。
城 そこが問題だと思います。森保さんは、W杯を勝ち抜くためには、2チーム、3チーム分ぐらい必要だというけど、現状は1.5チーム分ぐらいしかない。ボランチやサイドなど、ポジションによっては層が厚くなっているところがあるけど、FWはそもそも層が薄く、DF陣は怪我人が多く、かなり不安です。
FWは上田が軸になってきたけど、小川(航基)は、まだ上田のレベルに届かないし、町野(修斗)もまだ遠い。FWのバックアップは絶対に必要なので、本番までに根気強く探していかないといけないでしょう。
――11月には今年最後の試合となるガーナ戦、ボリビア戦が予定されています。
城 11月、ケガやコンディション不良で招集できなかった主力メンバーがどのくらい戻ってくるのか、と同時に経験値の少ない選手をどのくらい招集して試していくのか。
アメリカ遠征では、試合ごとにチームを丸ごと変えて何をしたいのか分からなくなったけど、ボリビア戦とかでは、レギュラー組に経験の少ない選手を加えてやってほしいですね。
レギュラー組以外の選手はW杯メンバーに入りたいと思っているので、どんな相手であれモチベーションは下がらないでしょう。そこで自分のプレーができるかどうか。結果を出す選手がひとりでも多く生まれ、チームを活性化させてほしいと思います。
取材・文=佐藤俊
