「森保さんが何をしたいのか、ちょっと読めなかった」ブラジル戦は前半に2失点したが…
――ブラジル戦は前半、簡単に裏を取られて2失点しました。
城 いつもの日本はセンターサークルの少し前から守備がスタートするけど、今回はそこから15mぐらいうしろからスタートしていた。そうなると相手の攻撃をモロに受けざるをえないんです。萎縮していたのか、セーフティに行こうとしたのか。前半は攻撃を捨てたのかなという感じだったので、森保さんが何をしたいのか、ちょっと読めなかったですね。
――前半の0-2から後半、日本が息を吹き返しました。
城 前半のような受ける守備ではなく、いつもの日本らしい攻撃的に行く守備に切り替え、相手のミスを誘ったり、シュートカウンターを狙うようになった。待つんじゃなくて、前線からプレスに行くようにしたので、ブラジルもボールを回すけど、なかなか前につけられなくなった。流れが日本に傾く中、南野(拓実)が相手のミスから1点を奪って、そこからイケイケになって流れが完全に変わりました。
――ブラジルがアグレッシブさを失ったのは、どういう理由からでしょうか。
城 長時間移動し、韓国で試合をして、日本に来たので、コンディション的に厳しい部分があったと思う。前半は動けていたけど、後半はバタッと足が止まったからね。それでも勝てたのは大きいですよ。自分たちがアトランタ五輪で勝った時は、28本ぐらいシュートを打たれて、GKの(川口)能活がスーパーセーブしたり、シュートがバーに当たったり、かなり運があった。
でも、今回は、相手の運動量が落ちた中でも試合をひっくり返して勝てた。親善試合とW杯の本番は出力がぜんぜん違うし、選手もそれは理解していると思うけど、ブラジル相手に強度の高い守備でハメて勝ったのは、今後に向けて大きな自信になったと思います。
「完全に覚醒した」「チームを救った」と城彰二が絶賛した選手とは?
――この2試合で、目立った選手はいましたか。
城 ブラジル戦ではボランチの鎌田(大地)がすごく効いていた。相手に縦にボールを入れさせないような守備をしていたし、ラインの上げ下げも緻密にやっていた。攻撃では後半、落ち着いてボール回しをしており、それが攻撃のいいリズムを生んでいた。
鎌田とボランチを組んだ佐野海舟もパラグアイ戦、ブラジル戦ともによかった。ボール奪取がうまいし、奪ってから前への意識が強い。鎌田との相性も良かったので、現状だと遠藤(航)と肩を並べるぐらいのレベルになってきたと思う。守田(英正)や田中碧らがいるなか、ボランチのレギュラー争いはこれからかなり激しくなっていくんじゃないかな。
――攻撃陣で、調子の良さを感じた選手はいますか。
城 中村敬斗ですね。体がキレているせいもあるけど、ドリブルでの仕掛けがいいし、周囲との連携も良い。ブラジル戦の2点目は、フランスのスタッド・ランスで2年間、一緒にやってきた伊東(純也)からのクロスをファーサイドからしっかり詰めてゴールを決めたけど、そういう阿吽の呼吸で分かり合える選手がいると攻撃がより洗練されていく。
三笘(薫)は本調子であれば突破力が頼もしい最強の武器になるけど、最近は抜きに行かないし、バックパスが多い。現状だと中村の方に分があるかなと思いますね。あと、上田(綺世)が完全に覚醒した感がある。
