10月15日早朝――夜が明けたばかりの埼玉県鶴ヶ島市の東武東上線・若葉駅周辺には救急車やパトカーのサイレン、そして報道ヘリのけたたましい轟音が鳴り響いていた。

 社会部記者が解説する。

「駅からほど近い高齢者施設(老人ホーム)で、80代の女性入居者2人が血を流して倒れているのが見つかり、まもなく死亡が確認されました。その後、若葉駅近くの路上にいた元施設職員・木村斗哉容疑者(22)が、少なくとも1人の殺害に関与した疑いで逮捕されました」

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送検される木村容疑者 ©時事通信社

カッターやハサミを振り回す

 1年余り前までこの老人ホームで働いていた木村容疑者。亡くなった入居者は、施設内の別の階の個室にそれぞれ居住していた。木村容疑者は事前に鞘付きの小刀を準備し、マスク、フード姿という用意周到ぶりだった。ただ、

「木村容疑者は2人の殺害への関与を仄めかしながらも、『2人に恨みはなかった』などと供述し、動機は不可解です。また、遠方に逃走することもなく現場付近で逮捕されています」

 残忍な犯行に及んだ木村容疑者はいかなる人物なのか。小学校、中学校時代を知る同級生が「週刊文春」の取材に応じた。

「小学校のころは、カッターやハサミを振り回したり、気に入らないことがあって校長室に怒鳴りこんでいったり。目立ちたいのか、普通ではない言動でした」(容疑者の同級生)

卒アルでは朗らかにほほ笑むが……

 テレビのニュースに映った容疑者の首元には青っぽい「タトゥー」らしき模様が見え隠れしていたが、同級生は木村容疑者は“不良”とは異なる印象だったと振り返る。

「木村はいわゆる“陰キャ”で、女の子と付き合うなどの接点も無さそうでした。滑舌が悪く、それをいじられて、クラス内で孤立していた。勉強もできず、成績は学年最下位レベルだったはずです」(同前)

中学・卒業アルバムで笑顔の木村容疑者 ©文藝春秋

「週刊文春」が入手した中学校の卒業アルバムには、木村容疑者が朗らかにほほ笑む姿があった。中学では剣道部に入部し、武道を心得たせいか「それまでとは別人のように礼儀正しく振舞うようになった」(同前)という。しかし、

「剣道を始めてからは、先生に『こんにちわっ!』と元気よく挨拶するんですけど、声が大きすぎたりいちいちオーバーで。無理してやんちゃしたり、無理して元気に振舞ったりしている印象でした」(同前)