「高市内閣」への公明党支持層の賛同は2割台

 高市内閣が発足した場合の支持率調査では、全体で約50%が支持を表明した。しかし、ここでも支持政党別の違いが鮮明に表れた。

 自民党支持層では7割以上が支持する一方、公明党支持層では支持するのは2割台半ばにとどまり、不支持が5割近くに達した。米重氏はこの結果について「今はもう完全に公明党支持層は野党的なスタンスに変わりつつある」と指摘する。

 

「保守層回帰」では“公明の穴”は埋まらない

 自民党内には、高市政権で保守層が戻れば公明票の穴を埋められるとの期待論もある。しかし、米重氏はこの見方に懐疑的だ。

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「公明党離脱で生じた穴が、比例票でいうと600万票ぐらいあります。それに対して、参政党が直近の参院選で取った比例票は700万票ちょっと。国民民主党も700万票ほど取っているわけですが、これらがみんな自民党に戻っていくというのは考えづらい」

高市早苗氏 ©文藝春秋

 米重氏によれば、既に受け皿となる政党ができてしまっており、参政党には参政党なりの、国民民主党には国民民主党なりの支持理由があるため、全てが自民党に戻ることは現実的ではないという。

「自民・維新連立の限界」とは

 急浮上した自民・維新連立についても、米重氏は冷静に分析する。維新は大阪では強力だが、全国的な広がりには限界があるというのが実情だ。

「大阪選出の小選挙区の議員の数分と、その大阪が生み出す比例近畿ブロックの票、これが衆院選においては連立与党側に入っていくということになりますから、その分の下支えにはなる。ただ、公明党が持つ票ほどではない」

 維新の支持基盤は「大阪の利益代表」という性格が強く、「県境を超えると、近畿の中であっても得票率がガクッと下がる」ため、全国政党としての役割は期待できないという。

早期解散は「合理的に考えるとちょっと難しい」

 一部で噂される早期解散についても、米重氏は慎重な見方を示す。

左から米重克洋氏、「文藝春秋PLUS」村井弦

「公明党が抜け、小選挙区でかなりディスカウントが生じているので、今この状態で維新と組んだからといってすぐ解散というのは、合理的に考えるとちょっと難しい」

 52議席という具体的な数字が示すように、公明党票の影響は想像以上に大きい。特に東京では「自民党が小選挙区で単体で勝てるところが3地区しかない」という厳しい現実が待ち受けている。

 26年間の蜜月関係が終わり、新たな政治地図が描かれている中、数字が突きつける現実は、どの政党にとっても楽観を許さないものとなっている。

次の記事に続く 「“右翼だからけしからん”は意外に…」公明党支持者・創価学会員が嫌悪した、高市氏でない“自民党の2人”とは《高市早苗首相誕生》

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