──大変だったシーンはどれですか?
花澤 やっぱり戦闘シーンですね。私はもともと反射神経がそんなによくないので、ついていくのにもう必死で「ごめんなさい、もう一回お願いします」みたいなところが多々ありました。
物理的にキックとかパンチで戦うというより、術とか気功みたいな技を使って戦うことが多くて、私もマイク前でノイズは立てられないんですけど、身振り手振りで戦っています。
最後あたりになると、シャオヘイは疲弊しながら必死になって戦ってて、私も酸欠になりながらやってました。
一緒に戦ってるつもりで演技してるので、とにかく体力と集中力を使います。シーンを撮るごとに、1人倒すみたいな感じです(笑)。
──戦闘シーンは本当に見事ですよね。まさにカンフー映画の現代アニメ版みたいな感じです。
花澤 「ヌルヌル動く」っていう表現をよく聞きますけど、なんかそれともまた違う動きなんですよね。すっごい滑らかなんですけど、アクションの終わりがキュッと締まっていて、独特の緩急がある。前作にもその緩急はあって、今作でよりパワーアップされた感じです。たぶん中国アニメだからとかじゃなくて、監督の持ち味だと思うんですけどね。
“ズルい人”をまんまと好きになる傾向がある(笑)
──逆に、中国アニメらしさを感じるところはありますか?
花澤 やっぱり景色とかだと思いますね。人の多さもそうだし、あと伝統的な建物の描き方とか、新しいものもめちゃくちゃ取り入れてる感じとか。きっと中国の人が見たら、すごく身近に感じるものがここに凝縮されてるんだろうなと思います。
それと食べ物が全部美味しそう(笑)。これどんな味するんだろう?って思わせる料理がいっぱい出てきます。
──たしかに観てるとお腹が空いてきます。
花澤 でもその一方で、日本のアニメーションを観てきた人たちにとって“懐かしさ”を感じることができる作品でもあるんですよね。
きっと監督も日本アニメの影響を受けてきたのかな?というところもあったりして、私たちにはとても観やすい作りになっているので、観ていて本当に心地いい。
だけど新しい発見もあるという唯一無二のアニメーションになっていて、そこが素晴らしいなって思います。


