あえて白黒つけずに“グレー”であることの大切さ
──では最後に、今回の作品を通して学びなどはありましたか?
花澤 『羅小黒戦記』は人間と妖精の共生のお話なので、本当にいろんな立場の人間や妖精が出てきます。
例えばシャオヘイは、人間と対等な立場で、お互いにとって良い存在であればいいなってちゃんと思ってる妖精。力もあるので人間を守れるなら守りたいと考えています。一方で姉弟子のルーイエは、人間に対して良いイメージを持っていません。
それにはちゃんとした理由があって、その話も今回明かされるんですけど、それを観るとルーイエの気持ちもすごくわかるんですね。どっちがいいとか悪いとかではありません。
白黒はっきりつけるんじゃなくて、お互いのことを思い合って“グレーの状態”を作り出すことが、一番大切なことなんじゃないかなと思いました。
──気がつけば、対立ばかりの世の中になりましたよね。そしてみんな白黒つけようとしているという⋯。
花澤 そうなんです。みんな強い言葉に惹かれちゃうからこそ、グレーを維持することが大切なんだと思います。
はなざわ・かな 声優。代表作は『鬼滅の刃』や『五等分の花嫁』など非常にたくさんあるが、「ロシャオヘイセンキ観ました!」と声をかけてくる人は漫画家やクリエイターなどの業界関係者である確率が高いとのこと。
INTRODUCTION & STORY
人間と妖精が共存する世界――。人間によって自分が住んでいる森を開発されて、居場所を失ってしまった黒猫の妖精・小黒(シャオヘイ)は、人間であるにもかかわらず妖精たちが集う館の執行人を務める無限(ムゲン)と出会って、彼に師事することになった。
ところがそれから2年後、とある館において妖精への襲撃事件が発生する。これは人間によるものなのか、それとも妖精によるものなのか? その事件を解明すべく、ムゲンとシャオヘイの師弟は引き離され、シャオヘイは姉弟子の鹿野(ルーイエ)とともに冒険の旅に出る。
『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)』は、2011年3月にWEBアニメシリーズとして動画サイトで公開されて以来、漫画化や劇場版が制作され、今や中国アニメを代表するIPに成長。中国で夏に公開された劇場版の続編の興行収入はすでに5億元(約100億円)を突破している。なお、原点ともいえるWEBアニメは10月5日からTOKYO MXほか各局でテレビ放送中。
STAFF & CAST
監督:木頭(MTJJ)、顧傑/声の出演:花澤香菜、宮野真守、悠木碧、水瀬いのり、多田野曜平、山路和弘/制作会社:北京寒木春華動画技術有限公司/中国/2025/124分/配給:アニプレックス/©2025 Beijing HMCH Anime Co.,Ltd

