異形のトンネル、信じられないほど狭い道、常軌を逸した急カーブ……。
日本各地には、思わず目を疑うような“仰天道路”が点在している。そんな中から、見た目のインパクトや走行のスリルが桁違いな「選りすぐりの道」を集めたのが、『日本の仰天道路』(実業之日本社)だ。
ここでは、その中から特にインパクトのある道を抜粋して紹介する。取り上げるのは、道マニアとして著名な鹿取茂雄氏が近年注目している全国各地にある「歩道と水路が一体化している橋梁」。実際に足を運び、現地を取材することで見えてきた、その驚くべき姿とは――。(全5回の3回目)
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近年、私は一つのテーマとして、歩道と水路が一体化している橋梁を探索している。
鉄道の盛土やガードの下を潜っているのは道だけではなく、実は水路も多い。ならば、道と水路を別々に通すのではなく、一体化させたほうが効率がよい。 元々水路しかなかった橋梁に後から歩道を付け足す例が多いようだ。
道路からすればトンネルに見えるが、これは鉄道施設であるため橋梁ということになる。
1890年(明治23年)に竣工したレンガ造の橋梁に歩道を付け足した関西本線の市場川橋梁や、水路の中に仮設歩道がある中央西線の十二兼3号水路函渠、暗渠化して二層構造になっている常磐線の高野疎水隧道、河川を跨ぐ橋梁内にフルサイズの歩道橋が架けられている東海道本線の長寿橋、北陸本線田村~長浜間の水路と歩道の段差がわずかしかない橋梁など、バリエーションも豊富で飽きない。
ただし、ジャンルを簡潔に説明しにくいのが難点だ。



