異形のトンネル、信じられないほど狭い道、常軌を逸した急カーブ……。

 日本各地には、思わず目を疑うような“仰天道路”が点在している。そんな中から、見た目のインパクトや走行のスリルが桁違いな「選りすぐりの道」を集めたのが、『日本の仰天道路』(実業之日本社)だ。

 ここでは、その中から特にインパクトのある道を抜粋して紹介する。舞台は北海道乙部町、国道229号にひっそりと存在する「豊浜2号隧道」。実際に足を運び、現地を取材することで見えてきた、その驚くべき姿とは――。(全5回の1回目/続きを読む

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「なぜここにトンネルがあるのか」。そう疑問に思わざるを得ないシチュエーション。

トンネルを含む小山がポツンと佇む。ゲームの中の風景のようだ

 前後に道路の存在感がなく、トンネルの土盛りもかなり削り取られ、トンネルの躯体だけが残されているような印象だ。

北側の坑口。振り向いた位置に3号隧道があったはずだが、4号とともに閉塞したか、視認できない

 ここは豊浜トンネル(渡島・檜山)の旧道だ。1962年(昭和37年)に山津波事故が発生したため短絡ルートの(新)豊浜トンネルが掘られ、この2号隧道とともに四つの隧道が放棄された。

南側坑口。その横が開削され、4号隧道だったところまで道がついている

 このトンネルがあるのは、国道から海側に300mほど入ったところ。周囲のなにもなさが「ポツン」感を強める。

国道のすぐ横にある1号隧道

 国道横に放棄されている豊浜1号隧道も、横が開削されているためにトンネルらしさが少ない。

 なお、国道229号にはもう一つの「豊浜トンネル」がある。積丹半島のもので1996年(平成8年)に岩盤崩落事故が起きたことで知られている。

次の記事に続く 〈軽自動車でギリギリ〉運転している時の緊張感はハンパではない…日本一狭い隧道の“驚きの姿”