異形のトンネル、信じられないほど狭い道、常軌を逸した急カーブ……。
日本各地には、思わず目を疑うような“仰天道路”が点在している。そんな中から、見た目のインパクトや走行のスリルが桁違いな「選りすぐりの道」を集めたのが、『日本の仰天道路』(実業之日本社)だ。
ここでは、その中から特にインパクトのある道を抜粋して紹介する。舞台は北海道乙部町、国道229号にひっそりと存在する「豊浜2号隧道」。実際に足を運び、現地を取材することで見えてきた、その驚くべき姿とは――。(全5回の1回目/続きを読む)
◆◆◆
「なぜここにトンネルがあるのか」。そう疑問に思わざるを得ないシチュエーション。
前後に道路の存在感がなく、トンネルの土盛りもかなり削り取られ、トンネルの躯体だけが残されているような印象だ。
ここは豊浜トンネル(渡島・檜山)の旧道だ。1962年(昭和37年)に山津波事故が発生したため短絡ルートの(新)豊浜トンネルが掘られ、この2号隧道とともに四つの隧道が放棄された。
このトンネルがあるのは、国道から海側に300mほど入ったところ。周囲のなにもなさが「ポツン」感を強める。
国道横に放棄されている豊浜1号隧道も、横が開削されているためにトンネルらしさが少ない。
なお、国道229号にはもう一つの「豊浜トンネル」がある。積丹半島のもので1996年(平成8年)に岩盤崩落事故が起きたことで知られている。



