異形のトンネル、信じられないほど狭い道、常軌を逸した急カーブ……。

 日本各地には、思わず目を疑うような“仰天道路”が点在している。そんな中から、見た目のインパクトや走行のスリルが桁違いな「選りすぐりの道」を集めたのが、『日本の仰天道路』(実業之日本社)だ。

 ここでは、その中から特にインパクトのある道を抜粋して紹介する。舞台は静岡県掛川市、道幅が信じられないほど狭い「岩谷隧道」。実際に足を運び、現地を取材することで見えてきた、その驚くべき姿とは――。(全5回の2回目/続きを読む

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 静岡県掛川市は、千葉県の房総半島と並ぶ素掘り隧道多発エリアだ。市内には現役・廃道ともに多くの素掘り隧道がみられる。その中でも特徴的なのが、岩谷隧道だ。

軽自動車でまさにギリギリ!

 岩谷隧道の高さ制限は1.7m。幅も狭く、軽自動車でミラーを畳んでも側壁に擦りそうになる。軽自動車がギリギリ収まるジャストサイズだ。

全体的にいびつで手作り感があり、それがまたよい

 素掘りのため、側面も天井もデコボコしており、運転している時の緊張感はハンパではない。自動車で通行できる隧道としては、日本一狭いといわれている。

左右や上から岩が飛び出しているため、局地的にさらに狭く感じられる

 近所の方の話によれば、岩谷隧道は地域の住民たちが自ら造ったもので、そのためギリギリのサイズになったという。戦時中には防空壕として使われることもあったそうだ。

軽トラが通行できないと、隧道の存在意義に関わってしまうだろう

 現在は掛川市道になっており、片側の坑口付近が崩れやすかったため、コルゲート管で補強された。

コルゲート管により補強されても、やはり狭い

 隧道前後の道も狭いため、脱輪して動けなくなった車をこれまで何度も救援したという。

ミラーを畳んで通過しないとぶつかりそうだった

 近隣の方に迷惑をかけないように訪問したいものだ。

次の記事に続く 《ジャンル不明の異形構造物》道マニアを唸らせる…全国各地の「歩道」と「水路」が一体化している「橋梁」をまとめてみた