東京はアジア人が闊歩する街へ
次に都区部においてどこの国の人が多いのかをみてみよう。中国と韓国は戦前から居住する人たち(特別永住者)が含まれるが、2000年との比較で顕著なのは、韓国人が減少していることだ。意外に思われるが、おそらく戦前から居住していた高齢者が亡くなりはじめていることが原因のひとつとも考えられる。いっぽうで中国人は3.35倍もの高い増加率となっている。これには現在の中国国内事情が複雑に絡んでいるものと思われる。
新顔としてはネパール、ベトナムがある。ネパールは中国とインドに挟まれた人口2900万人の多民族国家だが、都区部にはなんと4万1062人とベトナム人以上に多数が居住していることに驚かされる。またミャンマーは25年間で7.4倍、インドは6倍もの高い伸びになっている。
いっぽうで米国や英国といった欧米諸国はこの間でほとんど増加していない。そうした意味では東京はアジア人が闊歩する街へとその姿を変えつつあるといえるだろう。東京は世界の金融センターになり、世界中から人が集まる街になると都心再開発計画ではよく掲げられるが、そうしたスローガンのもと大勢の欧米人が来ているのではなく、アジア人中心の街になっているさまが窺える。
都内の欧米系の企業数が減少していることはあまり知られていないが、外国人専門に賃貸マンションなどを手掛けてきたある業者幹部は、最近では欧米から赴任してくる外国人幹部の役職のランクが以前よりも数ランク下がったという。かつてアジア本部は東京に設置されていたが現在ではシンガポールや香港にあるといった会社が増えているせいだとする。支社、支店に格下げされて、派遣される社員のランクが落ちたというわけだ。
国籍別で比較「どの区を好んで住んでいるか」
では国籍別に外国人はどの区を好んで住んでいるのだろうか。最も人数の多い中国人は新宿、足立、江戸川、板橋などを中心に都内に満遍なく住んでいるが、最近急増したのが江東区で、区別ではトップになった。区内に建つタワマンなどを積極的に買っている影響と考えられる。韓国人は新宿、足立、江東に多く、中国人とほぼ同様の傾向がある。
最近急増したネパール人は大田や新宿が多いが、中野や杉並にも在住者が多い。杉並の阿佐ヶ谷がネパール人街化しているのはエベレスト・インターナショナルスクール・ジャパンが開校していることも要因だろう。
ベトナム人は江戸川、足立、大田、豊島、板橋などに比較的均等に住んでいる。フィリピン人は足立区の竹ノ塚が有名でフィリピンタウンになっているほか、江戸川区の小岩、大田区の蒲田などに住む傾向がある。
ミャンマー人は豊島、新宿に住んでいる。新宿区の高田馬場、中井、荒川区の日暮里付近に多い。
インド人は江戸川と江東に多く居住する。西葛西は今やインド人の街として有名になり、駅前には多数のインドレストランが軒を連ねる。
こうした傾向と全く異なるのが米国人だ。彼らが多く住むのは港、世田谷、渋谷である。在住者は他国ほど増えていないが、居住エリアはかなり限定されるのが特徴だ。こうした傾向は英国やドイツ、フランスなど西欧諸国でもほぼ同じ傾向にある。