外国人の居住状況、各区の特徴は

 区によっての外国人の居住状況の特徴をみてみよう。新宿は元来中国人、韓国人が多数住む区として認識されてきたが、現在では多国籍化が顕著になっていて、ネパール、ミャンマー、ベトナムといった国々の人を多く迎え入れている。

 特徴的なのが江戸川区だ。インド人が在留外国人の16%を占め、またベトナム人も多い区になっている。江戸川に居住するインド人の中には大手町の金融機関でシステム構築などを行うエリート層も多く居住しているといわれ、通勤の便が良いことも彼らの居住志向を高めているといえる。

 大田区は羽田空港に近く、また町工場が多いエリアだが、ここに多くのネパール人が集まっている。フィリピンやベトナムを含めて外国人街が形成されつつある。

ADVERTISEMENT

 いっぽうで世田谷区は外国人比率が少ない区であるが、内訳の3位に入るのが米国であるのが特徴だ。瀟洒な街並みが続く世田谷は米国人をはじめ西欧人に選好されるエリアなのである。

富裕層の外国人と「お安い」日本

 さて最近は東京湾岸エリアで建設されるタワマンを多くの中国人が購入しているとされる。投資用も多く、購入者が必ずしも住民登録しているとは限らないが、湾岸エリアの中央区の外国人構成をみると、中国人比率が53%に達している。また教育区として名高い文京区に中国人が多く住み始めているとされるが、文京区も中国人比率が54%になっている。

 中国人で最近居住するようになった人たちは、特別永住者の住む新宿、豊島よりも中央、港、文京、江東などのタワマン街や文教地区を好む傾向がある。すでに日本で生まれ、日本語を自在に扱う在留中国人子弟たちが、優秀な成績で開成中学、桜蔭中学などから、東京大学に進学し始めている。

 これまで労働者の補助的な役割として外国人を迎え入れてきた日本だが、タワマンを購入して居住する中国人、大手町の金融機関で働くインド人などが新たな富裕層として日本で暮らし始めている。外資系投資ファンドによる日本企業の買収も活発化している。日本は何をとっても「お安い」からだ。

 いっぽうで外国人労働者にとっての日本は極端な円安で「稼げない」国となる。外資系に席巻され、オフィスワーカーは外国人上司に仕え、外国人所有のマンションに住んで高い家賃に苦しみ、外国人労働者はやってこない。みじめな日本の未来はあまり想像したくないものだ。