「レンタル沼にハマった」「気持ちに余裕が生まれた」と高い評価

 同社の調査では、ユニフォームレンタルを導入したことで離職率が2~5ポイント改善した企業もあるという。「家でユニフォームを洗わなくていい」という安心感が、従業員満足度や会社への信頼感向上につながっていると林さんはみている。

「経費削減のために、自社所有のユニフォームに切り替え、クリーニングして使う企業もなかにはいらっしゃいます。でも、一度ユニフォームレンタルのサービスをお使いになった方は継続してくださる方がほとんどです。『レンタル沼にハマった』と、うれしいことをおっしゃってくださる企業もいます」(林さん)

 近年は自動車ディーラーや医療機関でも導入が進み、大手自動車メーカーでは工場の従業員約7000人分のレンタルを開始した。

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「自宅で洗濯していたころは、家族と分けて洗う手間が大変だった。今は持ち帰らなくてよくなり、気持ちに余裕が生まれた」と、導入企業の現場社員からも高い評価を得ているそうだ。

 さらに環境負荷への配慮も見逃せない。洗濯で生じる高温の排水は井戸水と熱交換して再利用し、ガス使用量の削減にもつながっていると久慈さんは説明する。

「大量に洗うほど環境に悪い、という先入観を変えたいと思っています」

最後の仕上げはやはり人間の手で

 出荷前のエリアにも、洗い上がったユニフォームを1枚ずつ手に取り、襟や袖口を確認するスタッフの姿があった。大量の洗濯物を扱う工場であっても、最後に仕上げをするのはやはり人間なのだ。

 コンベアで次々に流れてくるユニフォームを目視で点検し、糸くずを払い、ブラシで細かなホコリを落としていく。自動化された工程の中にも、人の目と手が欠かせない場所が存在していることに、人間のぬくもりを感じる。

 1枚のユニフォームの向こうに、その服を着て働く誰かの姿を思い浮かべながら、手を動かす「職人」たちの姿を見ているうちに、ウェアラの工場は、単に服をきれいにする場所ではなく、働く人たちの日常を支える場所だという林社長の言葉があらためて浮かんだ。

 誰かが洗ってくれているから、誰かが気持ちよく働ける。ユニフォームレンタルという仕組みは、単なるビジネスではなく、見えない家事を社会で分かち合うための小さなインフラであり、働く人の時間を守る仕組みなのではないだろうか。

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