小学生の頃から工場見学が大好きだった筆者。業界最大級の洗濯工場が報道陣に初公開されると聞き、産業用ユニフォームのレンタルサービスを提供しているウェアラ株式会社の静岡工場へ出かけてきた。毎日6万着以上のユニフォームを洗濯するという業界最大級の工場。その知られざる現場を取材した。
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「熱風のなか、従業員が汗だくで働いている現場」かと思いきや…
「洗濯」が好きな人は、どれくらいいるのだろうか。
洗剤のテレビCMでは、洗濯はあたかも満面の笑顔でこなす、楽しい作業のように映っている。しかし筆者が「洗濯」という言葉から真っ先に思い出すのは、フランスの自然主義小説家、エミール・ゾラの小説『居酒屋』である。
19世紀のパリの労働者階級の暮らしを描いたこの小説には、地方から出てきた洗濯女が登場するが、決して楽しい話ではない。洗濯場の過酷な労働現場の描写は、今でも強烈に記憶に残っているほどだ。
近年でも映画『万引き家族』(18年)でクリーニング店が登場したが、「暑くてキツい仕事」ぶりが、強調して描かれていたように感じた。
そんなネガティブなイメージを持っていた筆者は、「洗濯工場というものは、熱風のなか、従業員が汗だくで働いている現場なのだろう」と勝手な先入観を持って、訪ねていった。
ところが、たどり着いた先で目にしたのは、まるでIKEAやコストコの物流倉庫のような、すっきりとした外観の近代的な工場だった。
「それでも、工場内は暑くて過酷な現場に違いない」
そう思いながら中に入ると、工場内部もシンプルですっきりしている。こちらは、まるで食品工場のクリーンルームのような清潔さだ。
食品工場さながらの厳しい衛生管理の体制
食品工場さながらの印象を受けたのは、厳しい管理体制が敷かれていることも大きい。手洗い、アルコール消毒、体調チェックを経て、3度のエアシャワーを通らなければ、何人たりとも工場内に立ち入ることができない。
単なるユニフォームを洗って貸すだけの事業ではなく、“人のウェルビーイングを支えるインフラ”という新しい視点でユニフォームレンタル事業を展開するウェアラでは、工場内の清潔を守るため、衛生管理が徹底されているのだ。



