従来の日本映画の枠組みを超えた大胆なオリジナルストーリーが注目の『火の華』が公開される(10月31日~)。PKOで南スーダンに派遣された自衛官・島田は、銃撃戦の中で現地民を射殺、同僚は撃たれて死亡した。その事実を国が隠蔽したことで、島田は職を辞し、やがて花火職人に就くが、隠蔽により心に生まれた闇が彼を追い詰めていく――。美しくも儚い花火の世界と銃撃戦・テロなどの暴力的なシーンが入り混じるスケールの大きな作品だ。1年弱の延期を経た公開を前に、小島央大監督とエグゼクティブプロデューサーの成宏基氏に製作の経緯についてインタビューした。(全2回の1回目/2回目を読む

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『火の華』あらすじ
PKO(国連平和維持活動)のため南スーダンに派遣された⾃衛官の島⽥東介。ある⽇、部隊が現地傭兵との銃撃戦に巻き込まれる。同期で親友の古川祐司は凶弾に倒れ、島⽥はやむなく少年兵を射殺。退却の混乱の最中、隊⻑の伊藤忠典が⾏⽅不明となる。しかし、この前代未聞の“戦闘”は、政府によって隠蔽されてしまう。それから2年後、新潟。悪夢に悩まされる島⽥は、闇の武器ビジネスに加わりながら、花⽕⼯場の仕事に就く。親⽅の藤井与⼀や仲間の職⼈たち、与⼀の娘・昭⼦に⽀えられ、⼼に負った傷を少しずつ癒していく島田。花火師の道に一筋の光を⾒出した矢先、島田に過去の闇が迫る。

「ミステリアスな花火職人」が出発点だった

――そもそも、この映画の発想はどこから来たのでしょうか。

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小島央大監督(以下、小島) 僕の前作である『JOINT』に主演してもらった山本一賢さんと、ぜひ次の作品もやりたいと話していて、まずキャラクターをどうしようかといろいろ相談していたんです。そのときに、僕はもともと花火がすごく好きなので、花火職人を主人公にしてみたいと思いました。

 花火職人は、花火を打ち上げているときは真っ暗な闇の中にいて、観客からは存在が見えないじゃないですか。それがすごくミステリアスだと思うんです。そして職人気質なところが、きっと山本さんに似合うだろうというところが出発点になりました。花火の映画を作るならどういう話になるかと考え、たどり着いたのが自衛隊だったわけです。

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