――自衛隊員の持つ銃は持ち込めたのでしょうか。

小島 持ち込めなかったので、タイの美術チームが現地のミリタリーコミュニティに声をかけて調達してくれました。タイの美術チームはとても優秀で助かりました。

 最初に出てくるUNのマークの入った高機動車も、ベースとなるトヨタのランドクルーザーの中古車を美術チームが見つけてきてくれました。たまたま白く塗装してあったので、そこにUNの車両らしく見えるように装飾を施しました。海外で活動する自衛官をフィクションの中で描いたのは日本初かもしれないですね。

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自分にしかできない題材を

――こうしたオリジナルの野心的な作品の存在は日本映画にとってとても貴重だと思いますが、成さんからご覧になって小島監督はいかがでしたか。

 感心したのは情報収集能力と、それを論理的に組み立てて物語に落とし込むロジカルな思考力です。ロジックだけでなく伝えたいメッセージ性もはっきりしているので、映画作家としてとても魅力的だと思ってます。また、どういう頭脳をしているのか分かりませんが、ギリギリのところで散らばった色々な物事を整理し、創りたいものを実現させる実行力は、すごい。こんな人はあまりいないなと思います。

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小島 自分としては、直感的に「面白そうだな」「作りがいがあるかな」と思うところから始めています。僕が映画を作るなら、僕にしかできない題材をやるべきだし、「自分らしい題材かもしれない」という衝動的な感触は、これからも大事にしていきたいですね。

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『火の華』
監督・編集・音楽:小島央大 企画・脚本:小島央大、山本一賢
出演:山本一賢、柳ゆり菜、松角洋平、田中一平、原雄次郎、新岡潤、キム・チャンバ、ゆかわたかし、今村謙斗、山崎潤、遠藤祐美、YUTA KOGA、ダンカン、伊武雅刀/主題歌:大貫妙子&坂本龍一「Flower」(commmons/Avex Music Creative Inc.)/2024年/日本/124分/製作・配給:アニモプロデュース/©animoproduce Inc. All Rights Reserved./10月31日(金)ユーロスペースほか全国順次公開

次の記事に続く 延期から11カ月、公開決定に至るまでの道程と決意――『火の華』監督とプロデューサーが語った「責任と使命」「多くの人の応援」【『火の華』インタビュー 後編】

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