昨年12月に公開が予定されていた『火の華』は、関係者の傷害事件によって、直前に公開が延期された。出演者兼プロデューサーであるK氏が逮捕・起訴されたことを受けての決定だった。昨今、関係者の不祥事によって公開が中止されたり、そのまま作品が封印されてしまったケースもいくつかある。公開を再度決定するに至った『火の華』の場合はどうだったのか。小島央大監督と本作のエクゼクティブプロデューサーでもある製作・配給のアニモプロデュース代表取締役の成宏基氏に経緯と考えを聞いた。(全2回の2回目/最初から読む

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事件が起こったとき

〈公開については様々なご意見があるかと存じますが、本作は監督やキャスト・スタッフをはじめとする大勢の関係者が携わって出来上がった映画であり、また、当該事案が映画とは一切関係のない場所で発生したものであることから、「個人の問題が作品そのものの責任に直結するものではない」という観点に基づき、製作会社・配給会社の責任かつ使命として劇場公開の決断に至りました。〉(映画『火の華』公開についてのご報告

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――今年8月に発表された声明では、上記のような考えを示されていますが、そこに至る過程についてあらためて伺いたいと思います。まず、K氏が関わった傷害事件は2024年9月18日に起きました。

成宏基エグゼクティブプロデューサー(以下、成) おそらく私が一番最初、事件が起きてほどなく、本人から「知り合いの知り合いと内輪揉めのようなことがあった」と聞きました。その時はそこまで大きな事だと聞いておらず、酒席でということでしたし、「まあ、そういうこともあるかな」くらいの印象でした。

小島央大監督(以下、小島) 僕は9月末か10月頭ぐらいに久しぶりに彼と会った時、いつもと様子が違ったので「何かあったんですか」と聞きました。すると揉め事があったという話をしていましたが、さほど深刻な様子ではなかったので、あまり気にかけなかったというのが正直なところです。

 11月初めに彼が逮捕されたときは、数日後に、共通の知人から聞いて驚きました。そこから詳細を聞きに回った、という感じです。本人は拘束されているので、周囲に聞いてみましたが、あまり情報がなかった。

小島 僕は彼に連絡しても返信が来ないので、何かあったのかと心配していましたが、成さんから連絡があって事態を知りました。でもそこからは結局、何もできない状態が続きました。