厳粛な気持ちで公開に臨みたい

――再度公開に向けて準備を始めて、スムーズに進みましたか? それとも困難がありましたか?

 困難ばかりです。いい映画だと思ってくれても、それ以上に各社の事情がある。事件が起きる前と後では、当然判断が変わってきますので、公開館数も当初の規模からはかなり少なくなりました。撮影地の新潟県内での上映館も少なくなりました。

小島 それでも公開に至ったことは映画にとってはすごくいいことです。映画に関わったたくさんの方と、皆が費やした労力が、映画を通して観客に伝わるのがすごくありがたいし、嬉しいことです。ただ、事件があった上での再公開なので、それを理解してもらった上で見てもらう責任も作者としてはあります。自分なりに厳粛な気持ちで公開に臨もうと思っています。

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『火の華』ポスター

 上映してくださる劇場さんには感謝しかありません。きちんと私たちの説明を聞いてくれて、決断してくださった。小島監督の才能を世に出すことは僕の使命だと思っていますが、そこに乗ってくれた、理解してくれたことは本当にありがたいと思っています。

小島 今回のことは僕のクリエイティブ、テーマ性や描きたいものといったスタンスには影響しませんが、やはり映画とは多くの人が関わるものであると。監督としてそれぞれの私生活をコントロールすることはもちろんできないし、すべきでもない。防ぎようがない事件や事故というリスクがある中で、芸術活動をしたいという気持ちがある。映画を作る喜びや、公開されて観客に感じてもらえる感動の方に僕は価値を感じているので、そちらに集中していきたいと思います。

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