一方、イゴール・マリノフスキー(Igor Vladimirovich Malinovsky)は元バイアスロンの選手で、ジュニア時代には世界選手権でメダルを獲得したこともある。引退後の2021年にヘリコプターのライセンスを取得し、このツアーでもパイロットをつとめていた。

参加費用は「平均月収の4倍以上」

ゾイヤ・カイゴロドワとセルゲイ・コレスニャクが参加したのは、カムチャッカ半島上空を回るプライベートツアーだった。報道によると、このツアーは全行程9日間でカムチャッカ半島の火山や野生動物を見学するもので、費用は4250ポンド(2025年10月16日時点のレート1ポンド=199.46円で約85万円)となっている。ロシアの平均月収は約9万~10万ルーブルくらいとされ、これは2022年当時のレートで約20万円弱にあたる。月収の4倍以上となるとかなり高額なツアーだ。

3人が乗ったヘリコプターは、2022年7月16日カムチャッカ半島上空で悪天候に見舞われ、消息を絶った。墜落現場は、カムチャッカ半島の東側、ウゾン火山近くのセミャチコフ峠付近だったとされる。ウゾン火山は雄大なカルデラで知られ、絶景を楽しめる観光スポットとしても人気を集めている模様だ。

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しかし、カムチャッカ半島は火山が多く、悪天候による視界不良が多発する土地だ。この時、3人を乗せたヘリコプターも悪天候に見舞われたらしい。

ロシア緊急事態省がドローンとヘリコプターで捜索を行い、墜落したヘリが発見されたのは翌日(2日後という報道もあり)だった。墜落現場は標高約1000メートルの孤立した山岳地帯で、救助が困難だったようだ。救助チームがヘリの残骸を発見したが、墜落後に炎上した形跡があり、3人の生存は絶望視された。

遺体は激しく食害され、骨格が露出していた

ゾイヤ・カイゴロドワとセルゲイ・コレスニャク、イゴール・マリノフスキーの3人の遺体は、ヘリの中からは見つからなかった。