気温だけに注意していても熱中症は防げない
「暑さ指数(WBGT)は Wet-Bulb Globe Temperature の略称で、湿球温度計、黒球温度計、乾球温度計の測定値に……」といった説明は、ここでは割愛します。「何が暑さ指数を決めるのか」から始めましょう。
暑さ指数は「気温」「湿度」「輻射熱」の3つ(正確にいえば風の影響も含みます)で決定されますが、その影響の比率は以下の通りです。
とかく「気温」の高さに注目が集まりがちですが、実は「湿度」の高さがより暑さをもたらすことがわかります。さらに地面や舗装道路、建物の表面などから遠赤外線の熱線により伝わる「輻射熱」の影響も、気温よりも高く設定されています。そもそも太陽が地球を温めるのも輻射熱の働きですし、アスファルトからの照り返しを思い浮かべればこの比率も納得できるのではないでしょうか。
湿度が高いと汗が蒸発しにくくなる→体温が下がりにくくなる
さて、最大の問題は湿度です。
皮膚の汗腺から出た汗は、蒸発するときに体表付近の熱を奪い、体温を冷ましてくれます。これは「気化熱」による作用ですが、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなるので、体温が下がりにくくなってしまいます。たとえば東京消防庁の2011~15年のデータを見ると、熱中症による救急搬送のピークはやはり7月と8月ですが、湿度の高い6月にも93~453人が搬送されています。
気温と湿度は天気予報でチェックできますし、気温と湿度をもとに蒸し暑さの度合いを表した「不快指数」もすでにおなじみです。ただし、不快指数には輻射熱や風速は反映されていませんし、生活環境の違いも考慮されていません。
そこで熱中症予防におすすめしたいのが、環境省の「熱中症予防情報サイト」で、「暑さ指数(WBGT)の実況と予測」http://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_data.phpをチェックすることです。