中高年の息子が、母の年金を頼りに、共依存
徐々にですが母の認知症は進行していきました。
出来ることと出来ないことが混在する『まだらボケ』から僕のことも時々わからなくなるようにまでなってしまいました。
これまで何十年も一緒にいただけに、さすがに悲しさがこみあげました。
一方で生活は想像以上に困窮しました。
なるべく節約しようと食費を切り詰め、電気・ガス・水道代を安くあげても、病院や薬代、おむつ代などの出費もかさみ、年金は一銭も残らないばかりか赤字です。
わずかな貯金を切り崩して、やっと生活ができるような有り様でした。
〈まさかこんなに苦しいとは思わなかったよ…〉
もう一つ、大変だったのは認知症の母は片時も目が離せないので、どこにも行くことができない点です。
自分の時間は皆無で、唯一ひとりになれるのは、近所のスーパーに買い物に出かけるときくらい。友達に飲みに誘われても断るので、自然と疎遠になっていきます。
何より年老いた母と二人きりで家の中で過ごすことの閉塞感で、精神的なストレスが溜まりました。
〈こんな生活がいつまで続くんだろう…〉
恐いのは、僕の暮らしが母の年金に依存しているという事実です。
確かに今はどうにか生活ができていますが、もし母が亡くなれば年金は途絶え、僕は無収入の状態になってしまいます。
その一方で母より先に僕の方が死んだ場合、認知症の母は何もできず、生活が立ち行かなくなってしまうことでしょう。
老いた母と、中高年の息子が、母の年金を頼りに、共依存する介護生活。
母はおろか、息子の僕も病気で倒れることができない状況を今さらながらに理解し、不安で眠れない夜もありました。