しかし入所には費用が発生するので、国からの年金は母親の生活のために全て使い、僕は僕で働いて生活することになるとのことです。

写真はイメージ ©getty

 僕は担当者の話を聞くやいなや即座に答えていました。

「よろしくお願いします」

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 この時、僕は何も考えずに、ようやく母の介護から解放されて、自由になることしか頭の中にありませんでした。冷たいと言われればそれまでですが、長年の介護の末、もはや身も心も限界にきていたのです。

48歳、久しぶりの就職活動

 入所当日、母の洋服などを選んで鞄に詰めて待っていると、区の担当の人が迎えに来て、ワゴン車で母を施設に送ってくれました。

 僕は介護ベッドの返却や片付けや掃除をしたあと、一週間くらいボーとしてようやく自分を取り戻し、さあ、貯金もわずかだから仕事を探さなくてはと思いました。

 この時の僕は48歳、久しぶりの就職活動でした。

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